eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)の概要やメリット・デメリットについて解説!

eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)は、三菱UFJ国際投信が運用するインデックス型の投資信託で、世界中の株式に分散投資を行うことができます。

先進国や新興国を含む全世界の株式市場に広く分散投資できることから、投資家の間で「オルカン」と呼ばれている銘柄です。

このファンドは、「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)」という世界株式指数に連動することを目指しています。

本ページでは、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の基本情報から投資したときの利回り、 よい点、悪い点まで、5つのポイントに分けて詳しく解説していきます。

目次

eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)の概要

三菱UFJアセットマネジメントが運用する本ファンドは、「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース)」に連動する追加型・内外・株式・インデックス型ファンドです。販売手数料無料、業界最低水準の信託報酬0.05775%という低コスト設計が特徴です。

基本情報と概要

  • ファンド名

eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)

  • 運用会社

三菱UFJアセットマネジメント

  • 投資対象

MSCI ACWI(All Country World Index)に連動する株式指数に基づく世界全体の株式

  • 運用方針

パッシブ運用(インデックス運用) 
MSCI ACWIに連動する投資成果を目指し、世界の先進国・新興国の株式に分散投資。

  •  信託報酬(運用管理費用)

0.05775%(税込)以内
※信託報酬はファンドの純資産額の増加に応じて、逓減していく仕組みで、純資産額の増加とともに、0.05753%に限りなく近づく仕組みです

  • 基準価額

基準価額は日々変動し、ファンドの運用結果に基づいています。具体的な基準価額は、証券会社や金融機関、三菱UFJアセットマネジメントのHPなどで確認できます。

  • 分配金

分配金は原則として出さず、ファンドが受取った株式配当金等は再投資されています。

  • 信託期間と設定日

無期限(2018年10月31日設定)

  • 投資対象地域

世界全体の株式(先進国・新興国を含む)

  • 最低投資額

1円から投資可能です。NISAの成長投資枠、積立投資枠に適合しており、証券会社や銀行に設定した口座から一括投資・積立投資ができます。

※出所:三菱UFJアセットマネジメントの交付目論見書をもとに作成

ここがポイント

MSCI ACWI(オール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み))とは、MSCI Inc.が開発した株価指数で、世界の先進国・新興国の株式で構成され、毎日計算されています。

運用にあたっては、ファンドの1口当たりの純資産額の変動率を対象インデックスの変動率に一致させることを目的とした運用が行われています。

購入時手数料がかからず、運用管理費用(信託報酬)が業界最低の格安水準にデザインされているため、長期に投資を続ける際の負担が小さい点が大きなメリットでしょう。

ポートフォリオ

投資先は、主として対象インデックスに採用されている日本を含む先進国および新興国になります。

先進国では、23ヶ国・地域
新興国では、24ヵ国・地域
(2024年3月末現在)

投資先としては全世界というだけあって広いですが、国別に集計すると、組み入れ上位10カ国・地域は下記のとおりです。

■組入上位10ヵ国・地域比率

①アメリカ 66.1%

②日本 4.7%

③イギリス 3.0%

④カナダ 2.6%

⑤フランス 2.2%

⑥スイス 1.9%

⑦ドイツ 1.9%

⑧インド 1.9%

⑨台湾 1.9%

⑩ケイマン諸島 1.6%

(2024年12月末 月次レポートより)

ここがポイント

先進国と新興国の投資割合は、おおむね、9:1程度です。
さらに、先進国の中で、アメリカが占める割合は、約7割です。

これは、MSCI Inc. が算出する標準的な指数は、原則として、浮動株調整後時価総額の加重平均で算出されているからです。つまり、各銘柄は、市場で取引可能な時価総額の大きさで指数に採用されるので、大型の銘柄や大きな市場のウエイトが高くなる仕組みです。

eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)の運用実績

eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)は、2018年の設定以来、基準価額が176.9%上昇し、利回りに換算すると年率17.7%(過去3年平均)という高いリターンを実現しています。原則として為替ヘッジは行わないので、円安の恩恵を受けたことや、分配金は再投資する方針を採用していたことも、好成績に寄与しました。

ファンドの騰落率 と ベンチマークの騰落率

期間ファンドの騰落率ベンチマークの騰落率
過去1ヵ月4.1%4.2%
過去3ヵ月11.1%10.9%
過去6ヵ月4.7%4.7%
過去1年32.5%32.3%
過去3年63.1%62.8%
設定来176.9%176.3%

基準価額 27,686円 純資産総額 5兆995億円 

(2024年12月30日現在 月次レポートより)

ここがポイント

運用のベンチマークであるMSCI ACWI(オール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み))と比較しても、ファンドの騰落率は遜色がない素晴らしいものです。

なお、全世界株式、つまり、世界中の株式に投資することを目的としたインデックスは、MSCI ACWI(オール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み))だけではありません。

他にも、次のような代表的なインデックスがあります。

FTSE All-World Index

S&P Global 100 Index

MSCI World Index

FTSE Global Equity Index Series

どの世界株式インデックスを選ぶかによって、運用成績も違いが出てきます。

eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)の特徴

『月々1,000円から世界中の有名企業に投資できる』それが、投資家から「オルカン」の愛称で親しまれているこのeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の最大の特徴です。

話題のエヌビディアやアップルなど、世界中にある取引可能な株式市場を対象に、低コストで株式への分散投資が可能なファンドです。

長期的な資産形成を目指す投資家にとって、非常に魅力的な選択肢となるでしょう。

分散投資

世界中の株式に投資するため、国や地域に依存しない分散投資が可能です。
これにより、特定の地域や国の政治情勢・景気動向・株式市場変動に大きくは左右されにくくなります。

ここがポイント

eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)の投資形態は、ファミリーファンドです。

具体的には、3つのマザーファンドに分割されて投資されています。

  • 新興国株式インデックスマザーファンド     315,639百万円
  • 日本株式インデックスマザーファンド      167,177百万円
  • 外国株式インデックスマザーファンド      2,606,339百万円

(親投資信託残高 2024年4月25日現在)

3つのマザーファンドを使い分けることにより、世界の株式市場の約85%をカバーする8,500社以上の企業群に一括投資することを可能としています。

低コスト

 eMAXIS Slimシリーズは、一般的に信託報酬が低く、コスト効率の高い運用が可能です。
このファンドの信託報酬は非常に低いため、長期投資においてもコスト面で有利です。

ここがポイント

純資産総額の増加に応じて信託報酬が逓減する 「受益者還元型信託報酬制度」 を採用しています。
これは、純資産総額が大きくなればなるほど運用の効率化が図れるため、その恩恵を投資家に還元するという仕組みです。
実際に、設定以来何度も信託報酬の引き下げが行われてきました。

長期的な成長を狙う

世界中の企業にまんべんなく投資することによって、全体的な長期成長を目指す投資家に適しています。
特に、世界の経済成長を享受するために分散投資を行いたい方に向いています。

ここがポイント

世界経済は、コロナ・ショックなど短期的に落ち込むことがあっても、長期的には成長軌道にあります。
人口増加、活発な投資、イノベーションが経済成長を支えます。

eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)の評判

投資対象とする指数は、世界の先進国、日本、および、新興国の株式市場を対象としており、約50か国以上の株式銘柄を含んでいますので、eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)は、投資家の間から、「安定して利益が伸びている」「信託報酬が低い」「投資初心者におすすめの商品」「これから伸びる可能性がある国の株式にも投資できる」「投信ブロガーに圧倒的な支持を受けている」などと評判です。

良い評判・メリット

1.コンセプト

キーとなるコンセプトは、ズバリ、株式・インデックス投資・グローバルでしょう。

投資することによって、間接的に株主となれること、時価総額の大きさに応じて統計的に投資額が配分されること、異なる国々に幅広い投資ができることなどがメリットに感じられるでしょう。

2.低コスト

簡単に概念的な計算をしてみましょう。

コストが年率1%高いファンドがあったとします。

10年間では10%の差になるように思われますが、もしインデックスやファンドが年率10%で成長していった場合、コストもそれに応じて上がって(かかって)きますので、10年では、15.3%もの差になります。

3.グローバル・カバレッジ

ファンドは、世界の国やセクターをまたいで株式に投資しています。
特に、今、人気がある時価総額が大きな銘柄にすべて投資しています。

■ファンド組入れの上位銘柄

構成上位10銘柄と業種・構成比(2024年10月31日時点)

【 No. 銘柄(コード) 業種 構成比 (%)】

①アップル(AAPL) 情報技術 4.9%

②エヌビディア(NVDA) 情報技術 4.2%

③マイクロソフト(MSFT) 情報技術 3.8%

④アマゾン ドットコム(AMZN) 一般消費財・サービス 2.7%

⑤メタ プラットフォームズ(META) コミュニケーション・サービス 1.6%

⑥テスラ(TSLA) 一般消費財・サービス 1.6%

⑦アルファベット A(GOOGL) コミュニケーション・サービス 1.4%

⑧ ブロードコム(AVGO) 情報技術  1.3%

⑨アルファベット C(GOOG) コミュニケーション・サービス 1.2%

⑩台湾積体電路製造(TSM) 情報技術 1.0%

(2024年10月31日時点)

4.包括的な投資

ファンドは、小型株などに投資していないので、上場株式すべてに投資するわけではありませんが、世界の株式市場の約85%程度を投資対象としているといわれています。

5.新興国投資を含む

エマージング・マーケットの組み入れは、より高い成長率を経験する可能性のある経済へのエクスポージャーを提供し、長期リターンを高める可能性があります。

【悪い評判・デメリット】

今や5兆円を超えるファンドに成長したeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)には、特に悪評は立っていません。しかし、これまで述べてきたファンドの特性を踏まえると、このファンドに投資する際のデメリットや弱点のようなものを知っておくことは有益と思われます。

デメリットと考えられるものにはいくつかあります。

1.為替リスク

eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)は、原則として為替ヘッジを行いませんので、為替変動の影響を大きく受ける可能性があります。

MSCI ACWIには様々な国の企業が含まれるため、為替変動がリターンに影響を与える可能性があります。投資家は、為替レートの変動によるボラティリティを経験する可能性があります。

2.先進国への投資割合

MSCI ACWIは、先進国に対する投資ウエイトが高い傾向があります。例えば、アメリカは、インデックス全体の時価総額の大きな部分を占めています。このため、先進国偏重のパフォーマンスとなり、新興国市場へのエクスポージャーが制限される可能性があります。

3.大型株への投資割合

MSCI ACWIは時価総額で加重されており、大企業に偏っています。このため、より高い成長ポテンシャルが期待できる中小型株へのエクスポージャーが限られる可能性があります。

4.世界株式投資が世界経済を示すわけではない

MSCI ACWIのセクター構成は、あくまで、上場している株式の時価構成比を反映しています。このため、特定の国では、台頭してきているセクターの成長性やセクターそのものの重要性が十分に反映されていない可能性があるため、世界経済の実態を十分に反映していない可能性があります。

5.ダイナミックな市場の変化を見逃す可能性も

MSCI ACWIインデックスは市場の変化を反映するために定期的に更新されていますが、特に動きの速いセクターでは、特定の市場ダイナミクスや新たなトレンドを捉えるのに遅れる可能性があります。大型株中心で市場ダイナミクスが形成される場合は、ファンドへの反映も素早く行われますが、中型株・小型株を中心に大きなイノベーションの動きが起きた場合などは注意深く市場の動きを見て行く必要がありそうです。

ポートフォリオマネージャーのコメント

総評

結論として、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)が参照しているMSCI ACWIは、先進国市場と新興国市場の両方に分散したグローバルな株式エクスポージャーを求める投資家にとって、堅牢なインデックスとみられます。

幅広い分散投資を通じて、世界経済の成長を効率的に取り込むことが期待できます。新NISAを活用した積立投資を始めるには、オーソドックスかつ堅実な選択肢となります。

世界経済は長期的に成長を続ける

世界経済は、長期的に今後も成長を続けると考えられます。その理由は、以下の3つです:

1. 世界の人口が増加を続けていること

2. 投資活動が継続的に行われていること

3. 人類の英知によるイノベーションが次々と起きていること

こうした要因が経済の拡大を後押ししているのです。

世界的成長の果実をしっかりと投資成果として取り込んでいくことが長期投資をする際の観点からは欠かせません。eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)は、幅広く世界に分散投資の網を広げて、世界経済の成長を見逃さない投資の仕組みを提供していると考えています。

短期的な変動のリスクと対策

– 地政学的リスク

– 景気循環の変動

– 政治や金融政策の影響

これらは専門家でも予測が難しいため、リスク分散の観点が重要です。

eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)は、分散投資の幅をできるだけ広くとることによって、こうした短期的なマイナスの影響を緩和することを目指しており、リスク軽減を図る投資方法として推奨されます。

eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の特長まとめ

「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」は、約50カ国、8,500社以上の企業に分散投資することで、世界経済の成長を効率的に捉えることを目指しています。このファンドの特色は以下の通りです。

業界最低水準の信託報酬:投資家の長期的な資産形成をサポート。

分散投資の実現:先進国市場だけでなく、新興国市場への約10%の投資を確保。

市場の偏り:アメリカ市場やテクノロジー関連株、半導体産業などへの高い投資割合。

投資戦略を評価する際の注意点

投資家は以下のリスクを考慮する必要があります。

– 為替変動による影響

– 先進国市場および大型株への投資偏重

– 新興国市場(約10%)や日本株式(約5%)への投資割合の影響

アメリカの投資割合が高いこと、テクノロジー関連株や半導体など成長産業への投資比率が高いこと、日本株式が5%程度組み入れられていること、新興国市場への投資も約10%確保されていることなどが、将来のファンドの成長機会にどのような影響を与えていくのかが注目されます。

他の選択肢とNISAの活用も

eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)が参照するMSCI ACWIは、グローバルな分散投資を求める投資家にとって信頼性の高いインデックスです。

eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)は、長期投資の基礎を固める目的に適しており、新NISAの成長投資枠を利用して投資ポートフォリオのベースを形成することや、積立投資枠を利用して積立投資を始めるには、オーソドックスな投資商品と言えるでしょう。

しかし、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)が、常にオールマイティーということでもないでしょう。 

世界経済の成長のしかたは、一定・一律のものではありません。そこで、世界経済の成長を効率的にとらえようとするさまざまな投資商品の開発が進んでいるのも事実です。

今後は、世界経済の成長成果を効率的にとらえる目的で新たに開発された、付加価値型でありながら運用経費が低いETF・インデックス型投資信託商品などにも注目が集まるでしょう。

特に、アメリカ上場のETFには、スマートβ(スマート・ベータ)型などの進化系ETFが数多く開発されています。これらの中から運用成績が良いものなどを選んで活用して行くことも、長期での運用成果をさらに強化する選択肢として検討する価値があるでしょう。

ポートフォリオマネージャー

監修者 松田 広

米国の投資顧問会社、国内大手アセットマネジメント会社などを経て、現在はファイナンシャルスタンダード株式会社ポートフォリオマネージャー。 グローバルな株式・債券・オルタナティブ投資などに永年従事。 資産運用の知識・業務経験を生かして、投資家目線での解説を心掛けています。

慶應義塾大学経済学部卒業、米国カリフォルニア大学バークレー校経営学修士(MBA)取得

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【投資信託の取引にかかるリスク】

投資信託は、商品によりその投資対象や投資方針、申込手数料等の費用が異なり、多岐にわたりますので、詳細につきましては、それぞれの投資信託の「目論見書」「目論見書補完書面」を必ずご覧ください。また、一部の投資信託には、原則として換金できない期間(クローズド期間)が設けられている場合があります。

●主な投資対象が国内株式

組み入れた株式の値動きにより基準価額が上下しますので、これにより投資元本を割り込むおそれがあります。

●主な投資対象が円建て公社債

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●主な投資対象が株式・一般債にわたっており、かつ、円建て・外貨建ての両方にわたっているもの

組み入れた株式や債券の値動き、為替相場の変動等の影響により基準価額が上下しますので、これにより投資元本を割り込むおそれがあります。

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