投資信託を始めようと考えている方、あるいは始めたばかりの方にとって、「利回り」という言葉は気になるポイントではないでしょうか。
本コラムでは、投資信託の利回りの計算方法、平均的な利回りの目安、そして商品の選び方について分かりやすく解説します。
投資信託の利回りとは?
利回りとは、投資額に対してどれだけの利益が得られたかを示す割合のことです。
投資信託では、値上がり益(キャピタルゲイン)や配当金(分配金)などが利回りの計算に含まれます。
利回り(%) = (分配金 + 売却益)÷運用年数 ÷ 投資元本 × 100
具体的な例を用いて計算してみましょう。次のようなケースを想定します。
投資金額:100万円
運用年数:5年間
分配金 :5万円
売却益 :20万円
この場合、計算式は次のようになります。
利回り(%) = (5万円+20万円)÷5年÷100万円×100=5(%)
投資信託の平均利回りはどのくらい?
一般的な投資信託の平均利回りは、年率3%から5%程度とされています。ただしこれは市場環境や商品タイプによって大きく異なります。
商品タイプ | 平均利回り |
国内債券型 | 0%∼1%程度 |
国内株式型 | 8%∼10%程度 |
バランス型 | 3%∼10%程度 |
外国株式型 | 13%程度(為替リスクも含む) |
※参照:楽天証券 投信スーパーサーチ(運用期間10年以上、過去10年間年率リターン)
※国内債券型、国内株式型はインデックスファンド、外国株式型は先進国のインデックスファンドを参照
投資信託の利回りは、証券会社のウェブサイトやアプリ、金融商品の比較サイトで確認ができます。
過去の実績に基づく参考利回りは、必ずしも将来の成果を保証するものではなく、「高利回りの商品=良い商品」とは限りませんが、投資信託を選ぶ際の判断材料として活用することができます。
利回りと間違えやすい「利率」と「騰落率」の違い
投資信託を検討する際、利回りと混同しやすい用語として「利率」と「騰落率」があります。それぞれの違いを理解しておきましょう。
- ・利率
-
利率という言葉は、主に預金や債券に対して使われ、預入(投資)した金額(=額面)に対して、「1年あたりどれだけの利息がもらえるか」を示します。
利回りと利率の大きな違いは、利回りには売却損益が含まれることです。
計算式:利率(%) = (年間利息 ÷ 額面) × 100
計算例:100万円の債券を購入し、年間で5万円の利息を受け取った場合
利率=(5万円 ÷ 100万円) × 100 = 5(%)
- ・騰落率
-
一定の期間内で価格がどれだけ変動したかを示す割合です。
投資信託や株式などの価格(基準価額)が、一定期間内でどれだけ上がったり下がったりしたかを表します。
運用成績を把握する指標として利用されますが、分配金は含まれません。
計算式:騰落率(%) = (期間終了時の価格 – 期間開始時の価格) ÷ 期間開始時の価格 × 100
計算例:基準価額が1万円の投資信託が1年後に1万2千円になった場合
騰落率=(1万2千円 – 1万円) ÷ 1万円 × 100 = 20(%)
一見似た用語ですが、それぞれが示す意味や対象が異なるため、資料を確認する際には注意が必要です。
投資信託を選ぶ際の3つのポイント
投資信託を選ぶ際、利回りが一つの重要な指標であることは間違いありませんが、それだけで判断してはいけません。利回り以外にチェックすべきポイントを解説します。
1.目的を明確にする
投資の目的を具体的に設定することで、自分に合った投資信託を選びやすくなります。
資産形成を目指すのか、定期的な収入の準備をするのかによって、適した商品の種類が異なります。
例えば、老後の資産形成が目的の場合、保有期間が10~20年と長期になるため、途中で分配金を受け取る必要がなく、成長を重視した株式投信が適しています。
一方で定期収入が目的の場合、分配金が重要になります。この場合、利子や配当などの定期収入が期待できる債券や高配当株を中心に運用され、分配金額や回数が多く、値動きが安定しているタイプが適しているでしょう。
老後に備える資産形成 | 定期収入 | |
目的 | 将来の生活資金を計画的に積み立てる | 定期的な収入源を確保し、生活の安定を図る |
運用期間 | 長期 | 中長期 |
運用対象 | 株式型 | 債券型や高配当株式型 |
2.リスクとリターンのバランスを知る
投資を成功させるには、リスクとリターンのバランスを理解することが重要です。
リスク許容度は、投資額の増減に対してどれだけ耐えられるか、心理的・経済的な余裕を示す指標です。
リスク許容度を過小評価すると、予想外の価格変動で焦り誤った判断をしてしまうことがあります。
ここで役立つのがシャープレシオです。
シャープレシオは、投資信託がどれだけ効率よくリターンを上げているかを表す指標で、リスク(価格の変動)に対して得られるリターンを測定します。具体的には、次のように計算されます。
シャープレシオ = (投資信託のリターン -無リスク資産のリターン) ÷ファンドのリスク(標準偏差)
例えば次のような、トータルリターンが同じ2つの投資信託がある場合、シャープレシオが高いほうが優れた選択肢と言えます。
Aファンド | Bファンド | |
①トータルリターン | 7% | 7% |
②リスク | 10 | 15 |
①÷②シャープレシオ | 0.7 | 0.46 |
※無リスク資産の利回りは日本の金利環境を反映し、ゼロとしてシャープレシオを計算しています。
シャープレシオが1を超えると優秀なファンドといわれています。投資信託の比較サイトなどで、シャープレシオを確認してみてるのもよいでしょう。
ただし、シャープレシオはあくまでも過去のデータに基づいていること、リターンがマイナスの場合は、リスクの数値が大きければ大きいほど、シャープレシオの数値も大きくなるなどの注意も必要です。
3.手数料に注意する
購入時手数料や信託報酬(運用コスト)は、運用利回りに直接影響を与えます。
手数料は長期的な運用成績に大きな影響を与えるため、コスト意識を持つことが重要です。
インデックスファンドでは銘柄選定など運用に係る費用が小さいことから、信託報酬は0.1〜0.3%程度と低く抑えられています。
一方アクティブファンドでは、ファンドマネージャーやアナリストが銘柄を選定し、定期的に組入銘柄を入れ替えながら積極的な運用を行うため、銘柄調査などの人的コストなども考慮して、信託報酬は1.0〜2.0%程度となることが多くなっています。
同じ運用方針やベンチマークを採用している投資信託を比較する場合、信託報酬が低い商品を選ぶことが一般的に有利とされています。
特にインデックスファンドのように市場の平均的な成績を目指す商品では、コストの違いがそのままリターンの差となりやすいため、信託報酬が低いほど効率的な運用が期待できます。そのため、同じ運用方針の商品で迷った場合は、信託報酬の低いファンドを選ぶことが賢明な選択といえるでしょう。
投資信託を成功させるための3つのヒント
1.長期運用を心がける
複利効果を最大限活用するために、短期的な価格変動に一喜一憂せず、長期保有を基本とします。
長期運用を心がけることで、経済全体の成長や市場の回復を活用した運用が可能になります。
2.分散投資を実践する
1つの商品だけでなく、地域や資産クラスを分散させることで特定の市場に依存しない安定運用が期待できます。
具体的には以下のような方法で分散を行うことができます。
資産の分散:株式、債券、不動産など、異なる種類の資産に投資します。
地域の分散:国内外のさまざまな地域の資産に投資し、地域特有のリスクを分散します。
時間の分散:定期的に一定額を投資する「積立投資」を行い、購入時期を分散させます。
3.定期的にチェックする
購入後も運用状況や投資方針が現在の状況や目標に合っているかを確認し、定期的に見直しを行うことが大切です。
投資方針の確認と資産配分のリバランスを組み合わせることで、より安定した資産運用が可能になります。
資産配分の確認:半年から1年に一度、現在の資産配分が目標とする配分からどの程度ずれているかを確認します。
リバランス方法:比率が高くなった資産を一部売却し、低くなった資産を購入して、目標の配分に戻します。
投資方針の確認:ライフステージの変化や市場環境の変動に伴い、当初の投資目的やリスク許容度が変わっていないかを確認します。必要に応じて、投資方針や資産配分を見直すことが重要です。
まとめ
この記事では、投資信託の利回りの計算方法や平均利回り、商品選びのポイントを解説しました。
投資信託の利回りを正しく理解することで、自分に合った商品を選び、効率的に資産を増やすことができます。
投資は将来の自分へのプレゼントです。焦らず計画的に、一歩一歩進めていきましょう!
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