eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の利回りや概要について解説!

eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)は、三菱UFJアセットマネジメントが運用するインデックス型の投資信託です。S&P500指数はアメリカの大企業500社で構成されているため、特定の銘柄に依存しない分散投資が可能です。また、米国経済の成長を享受することができます。

また、eMAXIS Slimシリーズ全般にいえることですが、業界最低水準の運用コストとなっており、長期投資をする際のメリットが高いことも特徴です。

eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の場合は約0.10%となっており、これは非常に安いコストと評価できます。

2018年7月の設定以来、年率約21%という高いリターンを実現していることもあり、2024年末の純資産総額は約6.5兆円と非常に多くの資金が流入している状況です。

本ページでは、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の基本情報から、良い点・悪い点まで、5つのポイントに分けて詳しく解説していきます。

目次

eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の概要

基本情報と概要

  • ファンド名

eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)

  • 運用会社

三菱UFJアセットマネジメント

  • 投資対象

S&P500指数(配当込み、円換算ベース)に含まれる銘柄を主とする株式、及び先物取引

  • 運用方針

パッシブ運用(インデックス運用)。S&P500指数に連動する投資成果を目指し、米国株式に分散投資。

  •  信託報酬(運用管理費用)

0.09372%(税込)以内

※信託報酬はファンドの純資産額の増加に応じて、逓減していく仕組みで、純資産額の増加とともに、0.09372%に限りなく近づく仕組みです

  • 基準価額

基準価額は日々変動し、ファンドの運用結果に基づいています。具体的な基準価額は、証券会社や金融機関、三菱UFJアセットマネジメントのHPなどで確認できます。

  • 分配金

年1回の決算時に分配金額が決定されます。(契約によっては、分配金の再投資が可能です。)

  • 信託期間と設定日

無期限(2018年7月3日設定)

  • 投資対象地域

米国全体の株式

※出所:三菱UFJアセットマネジメントの交付目論見書(使用開始日2025年1月25日)をもとに作成

ポートフォリオ

投資先は米国全体の株式であり、S&P500指数と同じ動きをするように設計されています。

S&P500指数は、S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス LLCが開発した米国の代表的な株価指数で、アメリカの大企業500社の株価を基に算出されています。

具体的に組み入れ上位10銘柄を見ると、以下の通りとなっています。(2024年12月末現在)

■組入上位10ヵ国(銘柄名・比率)

1 アップル 7.5%

2 エヌビディア 6.6%

3 マイクロソフト 6.2%

4 アマゾン 4.1%

5 メタ 2.6%

6 テスラ 2.4%

7 ブロードコム 2.2%

8 アルファベット クラスA 2.2%

9 アルファベット クラスC 1.8%

10 バークシャー・ハサウェイ 1.6%

(2024年12月末 月次レポートより)

ここがポイント

「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」に含まれている企業を見ると、普段の生活や仕事でよく目にする有名企業ばかりが並んでいることが分かります。例えば、アップルやマイクロソフト、アマゾンなど、私たちの生活にかかわる大企業が含まれています。

また、この上位10銘柄が占める割合は、約4割と比較的高い状態になっています。

これは、上述の通りS&P500指数が、「時価総額の加重平均」で算出されているからです。

この算出方法では、各銘柄が市場で時価総額の大きさに比例して指数に採用されるので、大企業のウエイトが高くなる仕組みです。

尚、S&P500の時価総額は、米国株式市場における時価総額の約80%程度を占めており、米国経済の動向を把握するうえで重要な指標となっています。

eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の運用実績

ファンドの騰落率

期間ファンドの騰落率
過去1ヵ月4.5%
過去3ヵ月15.6%
過去6ヵ月7.5%
過去1年40.8%
過去3年78.0%
設定来241.8%

(2024年12月30日現在 月次レポートより)

数字を見ればわかる通り、設定来で非常に高いリターンを獲得していることが分かります。

これは米国経済が成長していることを反映していることが主要因ですが、通貨(ドル円)の動きも一部効果として存在します。設定来のS&P500株価指数のドル建ての騰落率は、151.38%ですが、残りの90%程度は、同期間でドル円が大きくドル高円安方向に動いた効果によるものです。

この様に、米国を含む海外の株式に投資をする場合には通貨の動きにも注意を払う必要が出てきます。

eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の特徴

分散投資

米国の主要株式が投資対象ですが、500程度の株式銘柄に投資することから、分散投資が可能です。これにより、特定企業の業績やコーポレートアクション等による影響を軽減することができます。

低コスト

 eMAXIS Slimシリーズは、一般的に信託報酬が低く、コスト効率の高い運用が可能です。このファンドの信託報酬は非常に低いため、長期投資においてもコスト面で有利です。

具体的には、株式の投資信託の平均的なコストは0.9%~1.0%程度で、高いものでは2%を超える銘柄もあります。eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)のコストは0.10%程度となっており、非常に低コストであることが分かります。

ここがポイント

純資産総額の増加に応じて信託報酬が逓減する 「受益者還元型信託報酬制度」 を採用しています。 これは、純資産総額が大きくなればなるほど運用の効率化が図れるため、その恩恵を投資家に還元するという仕組みです。 実際に、設定以来何度も信託報酬の引き下げが行われてきました。

長期的な成長を狙う

米国の主要企業に投資することによって、米国全体の長期的な経済成長を目指す投資家に適しています。加えて、直接米国の個別銘柄を売買する手間も省け、非常に手軽な投資信託として適しています。

ここがポイント

米国株式市場は、現在も世界最大の規模となっており、コロナ・ショックなど短期的に落ち込むことがあっても、長期的には成長軌道にあります。人口増加、活発な投資、イノベーションが経済成長を支えます。

まとめ

eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)は、米国の主要株式市場を対象に、低コストで手軽に分散投資することを可能にするファンドです。

長期的な資産形成を目指す投資家にとって、非常に魅力的な選択肢となるでしょう。

eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の評価

投資対象とする指数は、米国の主要株式市場を対象としており、設定来の実績も高い利益を獲得していることから、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)は、「安定して利益が伸びている」「信託報酬が低い」「投資初心者におすすめの商品」「堅調な成長を遂げている米国株式に投資できる」「投信ブロガーに圧倒的な支持を受けている」などと評判です。

良い評判・メリット

① 投資観点

キーとなるコンセプトは、米国株式・インデックス投資でしょう。

投資することによって、間接的に株主となれること、時価総額の大きさに応じて統計的に投資額が配分されることなどがメリットです。

② 低コスト

簡単に概念的な計算をしてみましょう。

コストが年率1%高いファンドがあったとします。10年間では10%の差になるように思われますが、もしインデックスやファンドが年率10%で成長していった場合、コストもそれに応じて上がって(かかって)きますので、10年では、15.3%もの差になります。

【悪い評判・デメリット】

今や6兆円を超えるファンドに成長したeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)には、特に悪評は立っていません。ただし、このファンドの特徴を理解した上で、投資する際の注意点を知っておくことはとても大切です。注意点を知ることで、自分に合った投資判断がしやすくなります。

具体的には下記の通りです。

1.為替リスク

eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)は、原則として為替ヘッジを行いませんので、為替変動の影響を受けます。つまり投資家は、株式市場に加えて為替レートの変動によるボラティリティを被ります。

2.情報技術セクターへの投資割合

コロナ禍における巣ごもり需要の増加や、足元のAIブーム等によりIT系企業の業績が大きく伸びたことで、S&P500における情報技術セクターの割合は約30%程度と大きくなっており、バリュエーションも高い状況となっています。今後、同セクターを取り巻くビジネス環境が大きく変わってしまった場合、S&P500に対する影響がこれまでよりも大きくなる可能性があります。

3.大型株への投資割合

S&P500は時価総額で加重されており、大企業に偏っています。このため、より高い成長ポテンシャルが期待できる中小型株への投資機会を逃してしまう可能性があります。

4.ダイナミックな市場の変化を見逃す可能性も

S&P500は市場の変化を反映するために定期的に更新されていますが、特に動きの速いセクターでは、特定の市場ダイナミクスや新たなトレンドを捉えるのに遅れる可能性があります。大型株中心で市場ダイナミクスが形成される場合は、ファンドへの反映も素早く行われますが、中型株・小型株を中心に大きなイノベーションの動きが起きた場合などは注意深く市場の動きを見て行く必要がありそうです。

5.ダイナミックな市場の変化を見逃す可能性も

MSCI ACWIインデックスは市場の変化を反映するために定期的に更新されていますが、特に動きの速いセクターでは、特定の市場ダイナミクスや新たなトレンドを捉えるのに遅れる可能性があります。大型株中心で市場ダイナミクスが形成される場合は、ファンドへの反映も素早く行われますが、中型株・小型株を中心に大きなイノベーションの動きが起きた場合などは注意深く市場の動きを見て行く必要がありそうです。

ポートフォリオマネージャーのコメント

総評

結論として、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)は、米国全体の経済成長を手軽に低コストで享受したい投資家にとって、有用な投資信託とみられます。また、NISAなどを利用した積立投資をする際にも、オーソドックスな投資商品と言えるでしょう。

さらに、業界最低水準の信託報酬を実現し、投資家の長期的な資産形成をサポートしています。

しかし、米国市場及び大型株への偏りや、為替変動による潜在的なリスクは、投資戦略として評価する際に考慮する必要があるでしょう。

特に、アメリカの今後の経済環境の減速や、政治的な混乱、地政学リスク等が思わぬ形で顕在する懸念や、そもそも、世界経済が一様に一定のスピードで拡大するわけでもないことから、米国以外の有望な地域に対する投資機会を放棄してしまう可能性も捨てきれません。

このため、現在では世界経済の成長を効率的にとらえようとするさまざまなアメリカ上場のETFなどが開発されており、こうした流れや選択肢にも注目する必要がありそうです。

ポートフォリオマネージャー

監修者 峯 秀行

2009年3月早稲田大学院 先進理工学研究科 物理応物専攻を卒業
大手証券会社で株式・為替・金利デリバティブ関連の業務に携わった後、ソフトウェア開発会社にて金融工学や統計解析等のクオンツ分析を用いたアプリケーション開発、及びコンサルティング事業に従事。
その後、機関投資家サイドにて株式、債券、マルチアセット等のファンドマネージャーを務め、2022年5月よりファイナンシャルスタンダード株式会社のポートフォリオマネージャーに就任。
個人投資家だからこそ可能な、長期視点かつ合理的な判断に基づく資産運用サービスを提供できるよう努めています。自身の様々なプロダクトに携わった経験や数理的分析能力を活用し、先進的なポートフォリオの構築を継続していきます。

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●主な投資対象が株式・一般債にわたっており、かつ、円建て・外貨建ての両方にわたっているもの

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