厚生労働省の調査によると、物価変動の影響を除いた実質賃金が2013年の4月以来、25カ月ぶりにプラスに転じました。ようやく企業業績の回復が従業員へと還元され、ボーナスが増加傾向を示したことが幸いしたようです。
 
 しかしながら、肝心の給与のほうはまだ目立った増え方をしていません。今年は久々にベースアップが相次いだとはいえ、かつてのように右肩上がりで年々着々と増えていく状況は、もはや期待しづらい時代なのかもしれません。
 
 このような情勢の下で、サラリーマンは現役時代にどれくらいのお金を稼ぎ出しているのでしょうか。主要な上場企業における生涯賃金の平均額は2億数千万円程度と言われており、特に年収の高い業界に的を絞った場合でも3億円程度にとどまるのが実情のようです。
 
 果たして、人生の収支を計算した場合に、この生涯賃金だけでどうにか黒字を確保できるのか否かが気になるところです。特に誰もが大なり小なり不安に感じるのは、老後のために残しておく資金のことでしょう。
 
「ゆとりある老後」には1億円必要
 60歳で定年を迎えるとすれば、夫婦2人でどれくらいのお金がかかるのでしょうか? 結論から言えば、ゆとりある暮らしを送りたいなら1億円程度は必要になりそうです。
 
 公益財団法人生命保険文化センターが18〜69歳の個人を対象にアンケートを実施した「平成25年度生活保障に関する調査」によれば、「ゆとりある老後の生活費」の平均値は月額35.4万円でした。60歳以降、25年間にわたってこの金額の支出が続くと仮定すれば、その合計額は1億円を突破します。
 
 月々の出費をもっと抑えることができたとしても、さらに病気・要介護になった場合の備えも確保しておかなければ不安でしょう。公的年金という収入もあるとはいえ、その財政事情を踏まえればあまり多くを期待しないほうが無難だと言わざるをえません。
 
 仮に生涯で3億円の収入を稼いだとして、老後までにどれだけの資金を残せるでしょうか? 当然ながら、老後を迎えるまでにその多くが生活費となって消えていきますし、子どもがいる場合は教育費も負担しなければなりません。

 文部科学省の公表データをもとに試算すると、小学校から公立で国立大学に進んだ場合で約750万円、小学校から一貫して私立で大学が理系だった場合で約2130万円の教育費がかかるようです。さらに、マイホームを買えば住宅ローンの返済総額はかなりの金額に上りますし、賃貸派で通したとしても、ずっと支払い続けた賃料の総額は相当なものとなるでしょう。
 
 現実問題として、老後のために生涯賃金の約3分の1を蓄えておくことはけっして容易くないのです。しかも、現在の預貯金は利息がゼロ同然ですから、単純に資金をプールして積み上げていくだけでは増やすことができません。

お金に働いてもらう
 それなりのリスクをとったうえで、お金にも働いてもらう必要があります。長期のスパンで時間を味方につけながら、投じた元手にせっせと利益を稼いでもらうわけです。
 
 得られた利益を再び投資に回せば、利益が新たな利益を生む“複利効果”も期待できます。
たとえば仮にあなたが45歳だとして、まずは1000万円の資金を投じ、併せて毎月5万円ずつ積立投資を65歳まで(20年間)続けたとしましょう。

 平均5%の運用利回りを達成できれば、2200万円の投資総額に対し、約4700万円の資産を形成できる計算となります。
 
 おそらく、今どき5%などといった運用は不可能だと思った人もいることでしょう。ところが、それはけっして非現実的な数字ではありません。日経平均などの指数に連動した運用を行うインデックス投資でも、10年以上続けると過去の統計的には5〜7%の利回りを実現してきているのです。

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