2016年1月1日以降、金融所得は一体として課税されることになります。これまでは、金融商品ごとに課税の方法が異なっており、非常にわかりにくいものでした。
 そこで、金融所得を原則として20%の申告分離課税に一本化するという「金融所得一体課税」に変更されることになりました。


「金融所得一体課税」となることでどのような影響を受けるのか
 今回は、国債・地方債・外国国債などの特定公社債を対象に改正が行われました。
債券には、「利付債」と「割引債」があり、前者は、元本に利息が付きます。後者は、満期日に支払われる金額より安い額で発行される債券です。
 
 債券で税が発生するのは、①利息が支払われた場合、②譲渡して譲渡益が出た場合、③満期時に償還差益が生じた場合の3つになります。
それぞれの課税の仕方について簡単に見ていくと、利付債の場合、①の利子については、20%の源泉分離課税になっています。②の譲渡益については、非課税です。③の償還差益は、雑所得で総合課税になります。
 なお、割引債の場合、①の利息はないので、課税関係は生じません。②の譲渡益については、譲渡所得で総合課税になります。③の償還差益は、雑所得で総合課税になります。

 以上のとおり、非常に複雑なのですが、これが、2016年1月1日以降は、原則として20%の申告分離課税に一本化されます。
申告分離課税というのは、確定申告は必要だけれども、給与などの他の所得とは合算せずに分離して課税するというものです。


金融所得課税一体化によるメリット、デメリット
 税率や申告方法が統一化されることで、わかりやすいだけでなく、損益通算も可能になります。
損益通算というのは、ある金融商品で利益が出ていても、他の金融商品で損失が出ている場合には、利益から損失を控除することができるというものです。
 例えば、A債券で10万円の利益が出て、B債券では13万円の損失があるという場合、損益通算が認められないと、B債券は非課税ですが、A債券には10万円に対して税が課せられることになります。
これが、損益通算可能である場合、10万円から13万円を控除することができるので、課税されないことになります。
 また、控除しきれなかった3万円については、次年度に繰り越すことができるので、次年度に利益が出た場合には控除することができます。

 このように、金融所得課税一体化によるメリットがある反面、当然、デメリットもあります。

 例えば、債券の譲渡益については、これまでは非課税でしたが、これからは課税されるようになります。また、源泉分離課税から申告分離課税になると確定申告が必要になるので、確定申告をこれまでしてこなかった人は、確定申告書作成の負担が増えることになります。

 以上を踏まえ、現時点で確認しておくべきことは、譲渡益が非課税から課税になることから、売却益がでるような債券を保有していないか確認することです。
 もし、含み益が大きい場合には、今年中に売却することも検討した方がよいでしょう。ただ、債券を同じ条件で再度購入することは難しいため、有利な条件で購入した債券の場合には、来年以降課税されるとしても、保有しつづけた方が良い場合もあります。
満期時まで課税が保留されるという税の繰延べ効果も認められるからです。逆に含み損がある場合には、2016年以降は株式等と損益通算ができるようになるので、そのまま保有しておいた方がよいでしょう。

 このように、金融所得課税一体化によって、資産運用は、個別の金融商品の損益で見るのではなく、金融資産全体で損益を見るように変えていく必要があります。これを機会に、全体のポートフォリオが適正かどうか見直してみるのも良いと思います。


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