平成25年度税制改正で、相続税・贈与税の内容が大幅に変わりました。
相続税については、最高税率の引き上げや基礎控除額の引き下げにより、相続財産に対する課税が強化されました。

その一方、贈与税においては、相続時精算課税の対象者拡大や税率の緩和など、高齢者から現役世代への資産の移転の促進を目的とした施策が導入されました。こうしたことから、現在、贈与が注目されています。

最近、節税策として話題になっているものとして、特に「住宅資金の贈与」「教育資金の贈与」が挙げられます。ただし、これらの制度を実際に活用する前に、いくつかの点に注意を払わなくてはなりません。

1.住宅資金の贈与についてのチェックポイント
住宅資金の贈与については2つの特例があります。

一つ目は「住宅取得等資金贈与の非課税制度」です。
家を買う際、親や祖父母から資金援助を受けると、一定額(平成27年12月までの贈与契約ならば、最大で1500万円)が非課税になります。ただし、受贈者の所得金額が2,000万円以下でなければこの非課税措置は受けられません。
 
また、この制度は次に述べる「相続時精算課税制度」と併用可能です。この場合、最大4000万円の非課税の適用を受ける事ができますが、暦年課税制度の110万円の基礎控除との併用はできません。

二つ目は「相続時精算課税制度」です。
これも「住宅取得等資金贈与の非課税制度」と同様、親または祖父母から、住宅購入に関して資金援助を受けると、最大2500万円が非課税となります。ただし、この制度は、暦年課税制度の110万の基礎控除と併用はできません。

また、この制度は、相続税の仮払い的要素を含んでいます。そのため、後々、同一の親や祖父母との間で別の贈与が発生した際、相続時精算課税で贈与税を計算することになり、暦年課税は選べなくなります。

その他、これらの特例には細かな規定が設けられています。贈与を受ける者がその年の1月1日において20歳以上であることや、贈与の翌年3月15日までに住宅の引渡を受け、同日までに居住していることなどが必要です。
 
対象となる住宅についても床面積など細かな決まりがあります。特例を使った結果、税金が生じなくても贈与の翌年2月1日より3月15日までに税務署に贈与税の申告を行わなければなりません。

2.教育資金の贈与についてのチェックポイント
父母が子に、または祖父母が孫に教育資金を一括で贈与しても1500万円までは贈与税が非課税となるのが「教育資金の一括贈与に係る非課税制度」です。
 
この制度においては、贈与者が金融機関に子や孫の口座を開設し、一括して資金を拠出します。教育資金の使途は金融機関が領収証などをチェックし、口座から払い出します。ただし、この制度については、子や孫は一度しか適用を受ける事ができません。
 
また、受贈者が30歳になった場合や死亡した場合、あるいは残高が0になり、かつ、契約終了についての合意があった場合には、口座は終了します。そして残額はそれらの事由が生じた日の年分の贈与とみなされ、贈与税の申告をしなくてはなりません(ただし、受贈者が死亡した場合を除きます)。
 
この場合、父母が子に使う教育費は元々非課税です。そのため、一緒に生活をしていない祖父母が孫に贈与する場合にこの制度が活用されるケースが多いでしょう。
 
ただし、教育資金を支払うためには毎回金融機関に領収証などを提出しなければならず、実際の活用には手間がかかります。受贈者本人の将来の希望は何なのか、そして本当にこの制度を活用する必要はあるのかどうかなど、受贈者となる子や孫の教育プランをしっかりと家族全員で話し合った上で制度について検討するのが妥当です。

生兵法は怪我のもと
今回は、住宅資金と教育資金のそれぞれについての非課税制度について取り上げました。節税策として注目を浴びていますが、実際に活用するためにはその制度内容を詳細まできちんと調べる必要があります。何より、これらの制度を活用するだけの意味が自分たちにはあるのかについて熟慮しなくてはなりません。「オトクだ!」と思って飛びついた結果、骨折り損のくたびれ儲けで終わる可能性もあるからです。

後のトラブルを避けるためにも、制度内容のメリットだけでなくデメリットにも配慮しなくてはなりません。また、一人で手におえないと感じたら、なるべく早めに税理士などの専門家に相談するのが適切です。


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