投信先生:
トルコの国債利回りが高い理由は一つではないけど、最大の要因は高いインフレ率だ。
(図表3)の通り、トルコのインフレ率は継続的に高くなっている様子が分かるでしょう?
ところで横田くんはインフレの意味は知っていますよね?

(図表3)アメリカとトルコのインフレ率の比較
スライド3.JPG

(Bloombergデータよりファイナンシャルスタンダード作成)


横田くん:
インフレですか? もちろん知っています! インフレとは物価の上昇率のことですよね?
それぐらいは分かります!

投信先生:
例えば、インフレ率5%、金利10%のケースを考えよう(期間1年)。
横田くんは100万円の軽自動車を買うために、1年間我慢して100万円の定期預金をする。1年後はどうなっているかな?

横田くん:
1年後には100万円が110万円に増えていますね! やっぱり新興国の高い金利は魅力的です! 1年間我慢する甲斐があります!

投信先生:
でもよく考えてごらん。
買おうと思っていた軽自動車は100万円から105万円へ値上がりしている。
確かに100万円の定期預金は1年後に110万円へ増えているけど、何か損した気分にならない?

横田くん:
うーん、1年後に定期預金110万円だけど、狙っていた軽自動車は105万円に値上がりか・・・
金利収入と軽自動車の値上がりを考えると、金利収入で+10万円の利益、軽自動車の値上りで▲5万円の損、差し引き+5万円の得ということですか??

投信先生:
正解! 実はその考え方を「実質金利」と呼ぶんだ。
実質金利=名目金利ーインフレ率(物価上昇率)という考え方だね。

今の例だと、名目金利(預金金利)10%、インフレ率5%だから実質金利5%だね。10%の金利収入を5%の物価上昇で一部相殺してしまうから、差し引き手元には5%分の利益が残るという意味だね。

横田くん:
でも先生、実質金利の計算方法は何となく分かりましたけど、今一つそれが意味する経済的な意味が腹落ちしません・・ 
もう少しその意味を教えて貰えますか?

投信先生:
あまり深く考える必要はないよ。考えてごらん。インフレ率5%の国で預金金利(名目金利)が1%なら、誰も預金をしないでしょう?

横田くん:
インフレ率5%で名目金利1%、うーん、実質金利▲4%か・・・ 預金をすればするほど、預金者は損をしてしまいます! そうか、少なくとも実質金利がゼロ以上でないと誰も預金をしませんね! つまり物価が不安定になればなるほど、表面的な金利を高くしないと誰も預金をしてくれない、ということですか?

投信先生:
ようやく分かってきたみたいだね。インフレ率が高い新興国では、名目金利が高くなる傾向があるけど、それには今説明したような理由がある。
したがって、異なる国の金利を比較する時は、実質金利で見ないと意味がない。

そして(図表4)が示す通り、一見金利が高いように見える新興国でも、インフレ率を考慮した「実質金利」では実はそれほど高くないケースが結構ある。この点は非常に重要な点だよ。

(図表4)トルコとアメリカの実質金利(10年国債利回り-消費者物価上昇率)はイメージほど大きな差がない
スライド4.JPG

(Bloombergデータよりファイナンシャルスタンダード作成)


横田くん:
なるほど。 新興国の金利を考える上では、実質金利で考える必要があるということですね!
つまり、新興国の金利は見た目ほど高くないことがある! 難しいけど、少し分かった気がします!

~ここまでのまとめ~
◎新興国の債券利回りは一見すると高いことが多い
◎その裏側には高いインフレ率が隠れていることが多い
◎異なる国の金利比較では「実質金利」の考え方が重要
◎実質金利が十分高くなければ、投資魅力度はそれほど高くない