1.はじめに
2018年10月以降、世界中の株式市場は大きな調整を強いられました。
世界経済の鈍化懸念が鮮明化している中、2019年も世界中で大きな政治イベントが控えています。
その中でも特に重要と考えられるものをピックアップし、株式市場に及ぼす影響を分析します。


2.イギリス議会、EU離脱協定批准の最終期限|2019年1月
イギリスのEU離脱(ブレグジット)は2019年3月29日に迫っています。
しかし、依然としてブレグジットに関してイギリス議会におけるEUとの批准内容の策定は遅々としており、果たして期限までにイギリスとEUが合意に至るかは不透明です。仮に合意に至ることができなかった場合、ブレグジットに至るまでの移行期間が延長されるケース、あるいは合意が無いままイギリスが実質的にEUを離脱する可能性すらあります。
もしそのようなことになった場合、イギリス国内の経済政策の不安定化や企業活動へのマイナスの影響が懸念されます。


3.中国で全国人民代表会議開催|2019年3月
12月2日、トランプ大統領は2019年1月に予定していた中国製品への追加関税引き上げ中止を発表しました。

米中貿易戦争で最もマイナスの影響を受けるのは原材料の多くを中国からの輸入に頼っているアメリカであるため、アメリカ経済下支えのためには出口戦略を考えなければならない時期と言われている中、これは順当な決断といえます。全国人民代表会議でも米中貿易戦争の終結に向けた方針が焦点となり、習近平主席はアメリカに対して何らかの歩み寄りのメッセージを発するでしょう。これは、世界の株式市場に対する大きなプラス要因です。

米中貿易戦争のほかに中国が直面している課題は、中国国内の景気失速懸念が鮮明化していることです。これに対して、中国当局は金融緩和策と財政拡大により対処する方針です。しかし、実効性が今ひとつ不透明であり現状は特段の成果も出ていないことから、これに対する追加策を期待したいところです。
(関連記事: 全人代と中国共産党大会の違いと株価への影響、今年の注目議題 )


4.インドで下院の総選挙|2019年4月
モディ首相による高額紙幣廃止や物品サービス税導入などの一連の経済改革は着実に成果を挙げており、IMFの推計によると2019年も7.4パーセントの高い経済成長が見込まれています。

今回のインド下院総選挙はモディ首相の2期目をかけたものですが、このようなモディ首相の実績もあり与党であるインド人民党が有利と考えられています。ただし、地方選挙では一部の地域でインド人民党が敗北していることから、インド人民党の勢いがやや衰えているという見方もできます。この流れに乗って、もし今回の総選挙で野党が勝利した場合は、一連の改革の停滞と経済成長の鈍化に始まる政情の不安定化が考えられます。


5.日本で参議院選挙|2019年9月
2019年の日本は元号改正という大きなイベントを控えており、9月の参議院選挙は元号改正後の初の国政選挙となります。

また、10月に消費税率を現行の8パーセントから10パーセントに引き上げることが既に決まっていることから、これに対する国民の審判になるともいえます。言うまでもなく自民党にとっては完全にアゲインストであり、過去を振り返ってみても自民党は消費税導入後の1989年7月、3パーセントから5パーセントに増税した後の1998年7月、いずれの参議院選挙でも敗北しています。

仮に今回も自民党が敗北したとしても、株式市場に直接的かつクリティカルな影響がでるとは考えにくいでしょう。しかし、確保する議席次第では安倍首相の悲願である憲法9条改正の動議に深刻な影響が出る可能性があります。特に憲法改正には公明党が慎重な姿勢を崩していないため、両党の議席数次第では憲法改正の発議すらままならなくなる事態も想定されます。これが現実化した場合、与党内のねじれとして政情の安定性が疑問視され、株式市場にマイナスの影響が及ぶことも考えられます。


6.まとめ
この他にもタイやインドネシア、南アフリカで総選挙を控えており、2019年は新興国の選挙イヤーともいえます。先進国の株式市場の調整が続くと考えられる一方で、高い潜在的成長率をもつ新興国は引き続き新規投資先として注目されていますが、これらの選挙結果次第で株価はボラティリティが非常に強くなると考えられます。こうした政治イベントをぜひ見逃さないようにしてください。


>>購入者の7割が不満?なぜあなたの投資信託選びは失敗するのか?