「SIMロック」とは?
 これまでは、携帯電話キャリアが端末と通信回線を一体にして提供していました。携帯電話に差して使用するSIMカードを他社が提供するスマートフォンに差し替えてもその通信回線を利用することができないよう、端末にロックをかけていたものです。
これを、「SIMロック」と呼びます。

SIMロックの解除義務化の狙い
 SIMロックの解除義務化が5月1日よりスタートしました。 
SIMロックの解除の義務化により、消費者が携帯電話キャリアを選びやすくなり、キャリア間の競争が促進され、サービスの質も向上し、料金が安くなるという効果を期待した政策です。
 もともとは総務省が2010年に「SIMロック解除に関するガイドライン」を策定。
これにNTTドコモ <9437> が賛成し、これまでも3,000円(税別)を支払えばSIMロックを解除してきた実績があります。SIMロック解除により、NTTドコモ、KDDI(au) <9433> 、そしてソフトバンク <9984> の大手携帯電話キャリア3社の競争は一層激化されることが予想されます。

SIMロック解除義務化により携帯電話キャリア間の競争は一層激化
 前述したとおり、SIMロック解除が義務化されると、携帯電話キャリア間の競争が激化することが予想されます。今のスマートフォンの端末自体はどこの携帯電話キャリアから発売されてもほとんど差がないことも、競争激化の要因の一つです。
スマートフォンの基本的な機能にも大きな差はなく、SIMカードを差せばすぐに自分が使っている電話番号を普段と変わりなく使える便利さがあります。

 総務省が2010年ガイドラインを公表した際も、NTTドコモは米アップル社製のiPhone(アイフォーン)を取り扱っていなかったため、SIMロック解除はむしろメリットになると考え、賛成していた背景があります。
しかしそれは5年も前の話です。
今では携帯電話3キャリアとも人気のスマートフォンiPhoneを扱っています。

「2年縛り」による販売方法が変わる?
 携帯電話キャリアはこれまで、2年間契約を解除しづらくする代わりに携帯端末代金を安くするという、いわゆる「2年縛り」による販売方法を採用してきました。
これによりスマートフォンが爆発的に普及していったともいえます。
 しかしSIMロック解除が義務化されてしまうと、この販売方法も変化を迫られます。契約を中途で解約する際に支払う違約金は1万円程度であるため、携帯端末を安く提供すると携帯端末だけ取得されてしまい、肝心の通信回線契約の増加には結びつかない可能性が高くなります。
これは携帯電話キャリアにとっては大きなリスクとなります。

 一方消費者としては、SIMロック解除義務化のメリットをうまく活用しつつ、賢く携帯電話キャリアを選択するにはどのような点に注意しておけばいいのでしょうか。

知っておきたい5つのポイント

(1)180日ルール
 SIMロック解除を携帯電話キャリアに依頼するためには、端末購入後180日以上経過している必要があります。やはり携帯電話やスマートフォンを安く購入された上に、すぐに他社の通信回線に乗り換えられては携帯電話キャリアにとってはあまりメリットがありません。
そこで猶予期間として「180日」ルールが設けられているのです。

(2)SIMロック解除できる端末が少ない
 何もかもSIMロック解除できるわけではなさそうです。SIMロック解除義務化は2015年5月1日からスタートしています。そこで、KDDIとソフトバンクでは、この日以降に発売された端末に限ってSIMロック解除ができるとしています。
なお、NTTドコモはそのような縛りはなく、2015年5月以前に発売された端末であってもSIMロック解除は可能としています。

(3)SIMロック解除の手数料が「ネット申し込み」と「窓口」とで異なる
 ネットでSIMロックの解除を申し込んだ場合は「無料」ですが、直接窓口にて申し込んだ場合は3,000円(税別)の手数料が掛かります。
ネットの利用に慣れた人であればいいのですが、普段から何かあれば窓口でという人には敷居が高いかもしれません。できることなら無料のほうを選択したいものです。

(4)iPhoneは対象外
 アップルが販売している人気のスマートフォンiPhoneは、SIMロック解除義務化の対象から外れています。携帯電話キャリア各社ともSIMロック解除は想定していません。
どうしてもiPhoneをSIMロック解除して利用したい場合は、最初からSIMロックされていないSIMフリーのiPhoneを購入する必要があります。

(5)格安SIM事業者のなかにはSIMロック解除の必要がない場合も
 現在の契約を見直し、格安SIM事業者に乗り換えたいと思われている方も多いと思います。乗り換える場合は本来SIMロック解除が必要となりますが、実は必ずしもSIMロック解除が必要ではない場合もあります。
格安SIM事業者は自社で通信網を整備しているわけではなく、携帯電話キャリア大手の通信網を利用しているところが多いのです。


 NTTドコモの端末を使用している場合は、同じNTTドコモの通信網を使用しているインターネットイニシアティブ(IIJ) <3774> 、楽天モバイルといった会社のSIMを使えばわざわざSIMロックを解除する必要はなく、SIMを差し替えるだけで使用できます。
同様にauの端末を使用している場合は、mineo(マイネオ)やUQ mobile(ユーキューモバイル)といった、auの通信網を使用している会社を選べばいいのです。

 将来的には2年縛りによる違約金も禁止される可能性があります。
また端末メーカーも最初からSIMフリーとなっている端末を発売するということも考えられます。
今後も通信品質を確保しながら、通信料金が安くなるような競争が広がれば消費者にとっては大きなメリットです。

 まだまだSIMロック解除義務化は始まったばかり。
消費者としてはこれからが楽しみですが、携帯電話キャリアには厳しい時代になりそうです。



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