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サウジアラビアで今何が起きているか?株価や世界経済に与える影響とは

2018/08/02

政治的に不安定な中東地域でロシア、アメリカと並んで世界屈指の産油国であるサウジアラビアで、少なくとも法治国家であれば考えられないようなことが2017年11月に起きました。
どのような考えられないことであったのか。そして、その出来事に対する結果は、政治的に不安定な中東地域で世界屈指の産油国であるサウジアラビアであることから、世界の政治・経済に大きな影響を与える可能性があり、その影響についても解説します。

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サウジアラビアで起きていること

2017年11月に王族や閣僚クラスの政治家を含む200人以上の政財界の要人が、いきなり逮捕・拘束されるという前代未聞のことが起きました。

なぜなら、これまでのサウジアラビアであれば疑わしくても捜査の対象になることなどがあり得なかった特権階級に属する人もそのなかに含まれていたからです。

それでも逮捕・拘束の理由が明確で、その理由が単なる口実でなければ法に基づき行われたことになり、波紋はそれほど大きくはならないかもしれません。
しかし、逮捕・拘束の理由・目的は、政治的な腐敗や汚職が容疑と言われていますが、拘束の明確な理由や拘束された要人の名前すらすべてが明らかにされていません。そのため別の意図があるのではないかと推測されています。この出来事が、どのような結末を迎えるかを注視していく必要があります。

この大量の拘束を主導しているのは、現在のサルマン国王の息子で次の国王となる予定の32歳のムハンマド皇太子です。このことから、単なる腐敗や汚職容疑の目的ではなく国王への後継問題も絡んだ権力基盤の強化を目的とした政敵の追放ではないかともいわれています。

もし、これが事実であるならば政財界に大きな敵を作ることになり、権力基盤を維持できなければ国内政治が一気に不安定になるでしょう。そして、その不安定は世界屈指の産油国であることやイスラムの複雑な宗教問題もあって世界の政治・経済へ大きな影響を与えることが懸念されます。

前代未聞の出来事が大きな問題になると懸念される理由

理由1
主導者のムハンマド皇太子の政治的地位

サウジアラビアでは皇太子が次の国王になると決まっています。今回のことを主導したムハンマド皇太子の父親のサルマン現国王は、国内外からの評価も高かった前皇太子を解任し、当時副皇太子であった息子のムハンマドを皇太子に昇格させました。一方、前皇太子は自宅軟禁状態ではないかといわれています。

まさに、豊臣秀吉が自分の子である秀頼のために、関白であった甥(おい)の秀次を追放・殺害したことを想像させます。皇太子の交代の合理的な理由があったのかどうかは明確ではありませんが、前皇太子の評価が悪くなかったことや、解任後に自宅軟禁状態が本当なら非合理的な理由であったことになります。そして、このことは政治的な地位が国王の死後に不安定になることを意味します。サウジアラビアでは、過去にも王族間での国王の継承を巡って権力争いが起きています。


理由2
ムハンマド皇太子が推進しようとしている政策

政治的・宗教的に対立するイランがイエメンの反政府勢力を支援しているからか、その対抗策としてイエメンの内戦に介入。また、宗教的にも近いカタールと国交を断絶、その結果、カタールがイラン寄りになるなどイランとの対立が強まるような政策を進めています。

また、国内的には石油依存からの脱却と経済の近代化を目指し「ビジョン2030」と呼ばれる計画を発表。この推進には、王族、政治家、経済界、および一般国民の幅広い支持がないと実現困難な内容が含まれています。そのため、一部であっても敵に回すことにもなりかねない今回の事件は、ビジョンがうまく進められないと大きな反動を招くと考えられます。

「ビジョン2030」では、「脱石油依存」「女性の雇用の創出」「国営企業の改革と民間企業の活性化」を掲げています。
「脱石油依存」では、現在4.8兆円の非石油収入を2030年に6倍強の29.4兆円に増大。
「女性の雇用の創出」では、女性の現在の就業率を22%から30%に引き上げ。
「国営企業の改革と民間企業の活性化」では、経済に占める民間部門の割合を現在の40%から65%に引き上げる計画になっています。

サウジアラビアの政治・経済的不安定は原油価格に大きく影響

原油価格は、サウジアラビアの国内事情だけでなく、以下のようなさまざまな要因に左右されます。

・OPEC(石油輸出国機構)の生産量の協調減産
・イランへの経済制裁の緩和動向
・シェールオイルの採算ラインと原油価格との関係の推移
・世界の景気変動による原油の需要動向
・環境問題の高まり など

そのため、今サウジアラビアで、昨年起きて現在も継続しているできごとが、結果的にどのような影響を与えるかは不透明です。しかし、原油価格の変動は、世界経済に影響を与え、その結果は為替や株式価格に影響を与えます。FXや株式投資をしている人は、サウジアラビアの動向に関するニュースに今までよりもより注意を払うようにすべきです。

まとめ

サウジアラビアで前代未聞のできごとについて紹介し、その内容がサウジアラビアという国の不安定さにつながる可能性が高い理由と、結果として世界の政治・経済に大きな影響を与える可能性について解説しました。

投資家にとって、サウジアラビアの国の動向を注視していくことでリスクを抑えるとともに、逆に投資チャンスをつかめる可能性があります。

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