国内旅行の宿泊旅行者数はほぼ横ばいで推移しています。しかし、訪日外国人観光客数は大幅に増加し、また2020年のオリンピックを控えて、今後もさらに増加が見込まれています。

このためでしょうか、旅館の宿泊室数が20年前に比較すると減少しているなか、ホテルの室数は約3倍近くも増加しています。それでも地域によってはホテルが不足し宿泊者に対応しきれていないほどです。このような状況下、今ホテル業界が今までのホテルの概念を壊すあっと驚くような進化をしていることについて、ホテル業界を取り巻く環境とともに紹介します。

ホテル業界を取り巻く環境
国内旅行の宿泊旅行者数は、国土交通省観光局の発表によると5年前は3億1,560万人でしたが、2017年は3億2,330万人とほぼ横ばい推移です。
一方、訪日外国人観光客数は、日本政府観光局の発表によると5年前は840万人でしたが、2017年は2,870万人と3.4倍に急増しています。

なお、宿泊旅行者数としては、1桁以上外国人観光客が少ないのですが、国内旅行は1泊から3泊程度が多いのに対し、外国人観光客は1週間程度以上の宿泊が多いと考えられ宿泊した延べ人数としてはその差は縮まります。

ホテル業界全体としては、国内宿泊旅行客の伸びは大きくは期待できませんが、訪日外国人観光客の伸びがまだまだ期待できるだけに明るい見通しです。ただ、ホテル業界は景気に影響されやすく、海外ホテルの国内市場への参入で旅館の部屋数は大きく減少していますが、ホテルの部屋数は増加して競争は激化しています。

また、2018年6月15日には住宅宿泊事業法(民泊新法)が施行され、新しい法律に則した宿泊施設が増加し、宿泊形態がますます多様化していく可能性があります。これはホテル業界にも少なからず影響を与えることでしょう。

そのため生き残り策や新規の需要開拓として、一人旅、女子だけの旅、団体・家族旅行、シルバー世代の旅行、外国人客の旅行などの多様化した旅行にあわせた宿泊システムの提供が行われています。今回紹介する「泊まれる本屋」や「変なホテル」は、多様化した旅行ニーズや他ホテルとの差別化策の1つとして進化したホテルです。

話題の進化したホテルとは
従来のホテルは、睡眠と食の提供を機能的に提供するのが基本でしたが、特定のニーズを持った顧客や従来の機能的なだけでない楽しさをプラスアルファとして付加したホテルが続々と誕生しています。

それが以下のようなホテルです。

1)宿泊できる本屋
本に囲まれた中に睡眠できるベッドスペースがあるホテルです。好きな本を読みながらいつの間にか寝られるホテルです。読書が好きな人には最適なホテルといえます。このホテルは、バーが追加されてお酒を飲みながら読書ができるホテルにさらに進化しています。「BOOK AND BED TOKYO」という名称で東京の3カ所以外に京都、福岡で営業しています(2018年6月現在)。
http://bookandbedtokyo.com/


2)宿泊できる現代美術館や博物館
有名建築家が建設した美術館に宿泊施設、レストラン、カフェ、バーなどが完備。絵画、版画、彫刻物が展示され、見学後にそのまま宿泊できるホテルです。芸術が好きな人には、うれしい気分になれます。香川県にある「ベネッセハウスミュージアム」が泊まれる現代美術館です。
http://benesse-artsite.jp/stay/

島根県には、宿泊者がナイトミュージアムツアーを楽しめるのが「奥出雲多根自然博物館」で宿泊ができます。この博物館は、「宇宙の進化と生命の歴史」をテーマにしており、古代の恐竜や魚などの化石が展示されています。2006年、2009年、2014年に公開された映画「ナイトミュージアム」のような体験ができます。
http://tanemuseum.jp/index.html


3)宿泊できるカフェバー&ラウンジ
カフェバーとラウンジが併設されたホテルです。1人旅でも仲間と語らいたい時や新しい出会いも求めたい時などに、それがホテルに宿泊するだけでできます。同じ宿に泊まる者同士という気持ちがあるだけで、まったく単独でカフェバー&ラウンジを楽しむときよりも親密度は大きく増すでしょう。それができるのが東京にある「Nui(ヌイ). HOSTEL & BAR LOUNGE」です。
http://backpackersjapan.co.jp/nuihostel/


4)宿泊できる元学校施設
かつては子どものころに林間学校がよく行われていましたが、それに近い体験ができるのが過疎地の廃校になった学校を泊まれるように変えた宿泊施設です。広い運動場なども利用できるので子ども時代を懐かしみながら子どもや仲間と運動するのに適しています。その1つが群馬県みなかみ町にある「泊まれる学校 さる小」です。
https://www.sarusho.com/


5)宿泊できる元寝台列車のベッド
1988年から東京・上野駅から北海道・札幌駅までの全長約1,200キロを走行し、多くの人に愛された寝台特急「北斗星」は惜しまれつつ2015年に運行中止されました。その寝台をそのまま利用したベッドに泊まれるホテルが、東京・日本橋にある「Train Hostel 北斗星」です。鉄道ファンには、北斗星に乗ったかのような気分を味わえるホテルです。
http://trainhostelhokutosei.com/


6)宿泊できる古民家
機能性重視の無機質な建築物が増えたためか、今温かみのある古民家が人気です。古民家に泊まった気分を楽しめるのが古民家をリノベーションしたホテルです。温かみのあるなかにデザイナーによるオシャレさが加わっており、機能性重視のホテルでは味わえない満足できる空間と時間を過ごせます。その1つが東京・品川にある「Bamba Hotel」です。
http://47gawa.tokyo/bamba/


7)変なホテル
上記で紹介したホテルは決して変なホテルではありませんが、従来の機能性を重視したホテルと比べると変なホテルと言えるでしょう。最後に紹介したい進化したホテルは、ホテル名そのものが「変なホテル」というホテルです。

「変なホテル」のコンセプトは、「究極の生産性」を追求したホテルで、「変」なの意味は奇妙な意味の「変」ではなく「変わり続ける」を意味する「変」です。具体的には、接客や掃除などをロボットで実施し省人化されており、近未来のホテルに泊まるような新しい感覚が味わえます。2015年に最初の「変なホテル」が長崎・佐世保市のハウステンボス内にオープン。その後、東京、千葉、愛知、大阪、京都、福岡にオープンまたはオープン予定です(2018年6月現在)。
https://www.hennnahotel.com/


まとめ
宿泊旅行者の旅行目的の多様化や価値観の変化への対応、および差別化対策としてホテルが進化していること、具体的に進化したホテルのいくつかを紹介しました。

この他にもビジネスホテルとカプセルホテルの融合したホテル、IoT機器を活用して宿泊者に利便性を提供するホテル、外国人に日本らしさを十二分に感じさせられるホテルなど、進化したホテルが続々と誕生しています。これらのホテルに宿泊して新しい体験をしてみるのも面白いのではないでしょうか。


>>購入者の7割が不満?なぜあなたの投資信託選びは失敗するのか?