新しいFRB議長にジェローム・パウエル氏が決定しました。
しかしFRB議長の決定の前にトランプ大統領がFRB議長人事の関係で、スタンフォード大教授のジョン・テイラー氏と面談したことで話題を集めました。

そこで今回は、このテイラー教授について、詳しく解説していきます。金融緩和を旨とするトランプ政権に対して、引き締めのイメージがあるテイラー氏。一見、相容れないように見える両者ですが、実際のところはどうなのでしょうか。

1. ブッシュ政権でも活躍した金融のスペシャリスト
「ジョン・テイラー」と聞くと、デュランデュランという80年代バンドの創設者を想起する人も多いです。もちろん、今回注目されているジョン・テイラーは別人です。政界では既に顔が知られていて、2001年から4年にわたって、ブッシュ政権で財務次官を担っていました。まさに金融のスペシャリストといえる人物です。

2.テイラールールを確立
スタンフォード大学で博士号を取っています。テイラールールというものを確立したことでも知られています。

テイラールールとは中央銀行が誘導する政策金利の適正値をマクロ経済の指標により定める関係式です。この式に基づく政策金利は、現在のインフレ率が目標インフレ率を上回るほど、また、実質国内総生産(GDP)成長率が潜在GDP成長率(その差を需給ギャップと呼ぶ)を上回るほど引き上げられ、反対にそれぞれの値が下回るほど引き下げられるというものです。このルールをテイラールールと呼んでいます。

テイラー氏は公に、今の金利は低すぎることを指摘しています。このテイラールールを現在の経済に当てはめてみます。すると、FF金利の適正水準は3.74%となっていますから、これから短い間に2.5%の金利アップが施行されることになります。テイラー氏がFRB議長になった場合には、日米の金利差が急拡大するという思惑から、ドルが大幅に上昇するという予想を立てる投資家が多かったのです。

3. テイラールールの施行には寛容
ただし、テイラー氏が議長に就任していたら、必ずしも金利上昇が実施されたかというと、そうではありません。というのも、10月13日のボストン連銀が開催した会合で、ルールを擁護する一方、このテイラールールは金融当局者の活動を強制するものではない、と発言しているからです。つまり、ルールの適用について、かなり柔軟な姿勢を見せていると言えます。

このテイラー氏の柔軟な姿勢については、ボストン連銀13代総裁であるローゼングレンも、好意的な解釈をしています。つまり、一見すると、トランプの緩和政策に親和性がないように感じるテイラー氏も、ここにきて、だいぶ適合しているように見えてきました。

4. もともとはタカ派でボルカールールの支持者
とはいえ、テイラー氏はポール・ボルカーにかなりの影響を受けています。銀行の市場取引を規制するボルカールールに賛成の立場だと言えます。特に、これまでFRBによる低金利政策、それに伴う住宅バブルを強く批判していました。ボルカールールが基になっている金融の規制改革法「ドッドフランク法」の廃止(トランプが選挙活動中から公約している)についても、容認できるのか疑わしいと見られています。

FRB史上初の女性議長であったジャネット・イエレン氏の方針は、チキン政策だと揶揄されていました。テイラーがFRB議長に就任していたら、イエレン氏のときのような手ぬるい政策とはいかなかっただろうと思われます。今言われているように、議長になったからといっていきなり3%以上に金利を引き上げることは、現実的には難しいでしょう。しかし、金利が上がることはまず間違いありません。ドル円に多大な影響を与えていたことでしょう。

5. なぜトランプはタカ派のテイラーを議長に推すのか?
金融緩和で現在のバブル状態を継続させたいと考えるのが、トランプ政権です。この姿勢は、金融規制を主とするテイラーの考え方とは相容れないように感じられます。確かに、トランプの政権下ではなかなかFRB議長になりたがる人がいない、ということも言われています。しかし、それでもなぜ、トランプがテイラーを議長候補として考えるのか、その真意はどのようなものだったのでしょうか。

6. イエレンに比べればテイラーはハト派的
現段階で1つ、可能性として考えられるのは、トランプ大統領の減税政策について、イエレン氏よりもテイラー氏のほうがハト派的だということです。FRB議長候補のなかでは、テイラー教授はタカ派だと言われています。ですが、トランプの減税案が遂行された場合のインフレ化については、イエレン氏よりテイラー氏のほうが警戒度が低いです。

そもそもテイラー氏は、トランプ政権が緩和や減税政策を通じて、インフレを招くことなく経済成長率をアップできると考えているためです。イエレン氏はこれについてもっと慎重な立場を取っています。そのために、景気引き上げに対しては、テイラー氏のほうが利上げによる対応はしないと予想できます。

パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)の世界経済顧問であるヨアヒム・フェルズ氏もレポートにおいて、「来年に大きな減税が施行された場合、テイラー氏が米金融当局を率いているほうが、イエレン氏の場合よりも遥かにハト派的である可能性がかなり高い」と述べています。

一般的には、テイラールールは高金利が導き出されることからも、テイラー氏に利上げのイメージを持っている人は多いです。実際は、テイラー氏のほうがイエレン氏よりもトランプ大統領の金融政策による経済の成長速度上昇を信じている側面があります。このような点が、トランプ氏がテイラー教授をFRB議長として推す1つの理由となっていたと感じます。



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