会社経営について勉強したことがある人なら、一度は「アメーバ経営」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。

アメーバ経営とは、京セラ名誉会長の稲盛和夫氏が長年の会社経営の経験から編み出した経営手法のことです。

アメーバ経営においては会社組織がアメーバといういくつかの小集団に分けられ、その小集団の中でそれぞれリーダーを決め、リーダーが中心となってアメーバ内の計画を決定し、メンバーと協力しながら目標の達成を目指します。


アメーバ経営における経理
稲盛氏は、アメーバ毎で経理をつける際に、採算表という名の家計簿のような帳簿をつけるように命じました。

これは経理の知識がない社員でも分かりやすいように設計されたもので、総生産を収益、経費を支出、差引利益を残高という名前に変えて帳簿をつけるようにしました。

ちなみにアメーバ経営においては人件費は経費のうちに含まれません。アメーバという小さい組織で区分けしているので、人件費が経費に含まれてしまうと、それぞれのアメーバの社員の給料がおおよそ把握されてしまうからです。ほかの社員の給料がわかってしまうことはときに不公平感を煽り、良い結果をもたらさないのです。

また、人件費は社員が努力によって節約できるものではないので、数値化して共有する必要がないというのがアメーバ経営の考え方です。

人件費当たりの利益を出せない代わりに、アメーバ経営においては差引収益を総時間(アメーバ内のメンバー全員が働いた時間)で割って求められる「時間当たり採算」という指標を導入し、1時間でどれだけの収益をあげられているのかというのが一目で分かるような仕組みを作りました。

こうすることによって、それぞれ組織の規模が違うアメーバの成果を一律に評価できるようになったのです。

通常、会社で製造した製品は営業部門が売ることによって初めて利益になります。しかし、アメーバ経営においては、製造部門が利益をいくら出したかということがわかるような
計算方法を導入しています。これを社内売買といいます。

社内売買においては、営業部門が製造部門から製品を取り寄せた時には、部門間で売買が成立したとみなします。アメーバ毎の総生産高は、社内売(ほかの部門への売上)と社内出荷(社外への売上)を足したものから、社内買(他の部署から商品を購入した額)を引いた数字になります。

このように製造部門でさえも直接売上を計上しているという帳簿上の計算をすることにより、全ての部署が売上を上げているという意識を強く持つことができ、社員のモチベーションアップにつながるのです。


アメーバ毎の年間の売上目標の数字のことをマスタープランといいます。マスタープランは、会社の経営者が「今年は会社をこれくらい成長させたい」と目標を決めて、部門長クラスの人間と現場の状況を考え、決定します。

マスタープランは経営者の独りよがりの理想を下に押し付けるものになってはいけないので、現場を知っている人間との調整のもとで決められなくてはならないのです。アメーバのリーダーはこのマスタープランを達成するために毎日PDCAを回していかなければなりません。

各アメーバには、毎日概算の収支のデータが送られてきます。このデータを見ることによって、アメーバが目標としている数値に届きそうかどうかを逐一把握することができます。

また、月末になると各アメーバ毎の収支が全体で共有されます。こうすることによって社員はほかのアメーバには負けたくないと対抗心を燃やしモチベーションが上がり、経営者からすると各アメーバの収支が一目で分かるようになります。

アメーバ経営においては、日ごと、月ごとに細かく計画を立てて調整していき、最終的なマスタープランの達成を目指すという仕組みが徹底されているのです。


アメーバ経営によるJAL再建
稲森氏は、2010年1月に会社更生法が適用されたJAL(日本航空)の経営再建を引き受けました。稲森氏はアメーバ経営を駆使し、一度は経営破たんしたJALの業績を蘇らせることに成功しました。

アメーバ経営の適用により、JALでは便ごとの利益が一目で分かりやすいような指標を作成しました。こうしたことによってどの便において経費の節約が必要なのかということがはっきりし、効率的な経費の削減につながったのです。

稲森氏のアメーバ経営によるJAL再建の成功にはメディアの注目が集まり、それ以降あらゆる企業の経営者がアメーバ経営を参考にして会社経営をするようになりました。


アメーバ経営の1番の特徴は、組織の末端にいる社員でさえも会社組織を動かしているという実感を持ち、自主的に会社の経営に参加することができるということです。

このような全員参加経営というのは成功している企業のほとんどに当てはまるものです。

あなたの会社が現在うまくいってないのであれば、是非ともアメーバ経営の考え方を参考にしてみてはいかがでしょうか。



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