例年9月~10月に開催されるIMF・世界銀行年次総会。2017年は、10月13日~15日にかけて、米国のワシントンD.C.で開催されました。
ところでIMFってそもそも何をするところでしょうか?

この年次総会は、IMF(国際通貨基金)と世界銀行グループ(世銀)が合同で開催する、国際協力のためのフォーラムです。
貧困削減や国際経済開発など金融に関する多彩な議題で、世界各国から集まった1万人を超える幅広い関係者と政策立案者が意見交換を行う、貴重な交流機会となっています。

世界の金融や経済ニュースを見ていると盛んに登場する、このIMF(国際通貨基金:International Monetary Fund)という組織。
近年では、リーマン・ショック後に起きたギリシャ危機の支援で主導的な役割を果たしていたことも記憶に新しいところです。

ですが、IMFとはいったい何をしているのか、と改めて聞かれると、言葉に詰まってしまいますよね。そこで今回は、知っているようで知らない、今さら聞けないIMFの基礎知識について、まとめてお伝えします。

IMF(国際通貨基金)とは、一体何をするところ?
IMFは、加盟国の経済を安定させるために活動している、国際的な専門機関です。

2016年5月の段階で、加盟国は189ヶ国。現在日本が承認している国の数は196ヶ国ですから、世界のほぼすべての国が参画していることになります。

IMFが行う業務は、主に以下の3つに分類されます。


  1. 加盟国が対外的な支払い困難(外貨不足)に陥った場合、IMF加盟各国の出資した基金を財源として一時的な融資という形で支援を行い、財政危機や通貨危機を克服する手助けを行います。

  2. 世界各国の経済と金融の情勢をモニターして、加盟国に経済政策に関する助言を行います(サーベイランス)。このサーベイランスへの協力は、IMF加盟国の義務とされています。

  3. 経済や財政、金融分野で専門知識のある政策担当者が不足している加盟国から要請があれば、IMFから専門家を派遣して、技術支援や、政府や中央銀行職員を対象とした研修を行っています。


世界各国の経済状況を監視・把握しながら、加盟国に対して融資や技術支援、金融政策のアドバイスを提供することで、世界経済の混乱を引き起こしかねない通貨危機や信用不安を未然に防いで、早期に市場を安定させる、大切な役割が期待されている国際機関なのです。

IMFはどうして出来たの?
20世紀に大きな傷跡を残した第二次世界大戦。1929年、ニューヨークで起こったウォール街大暴落に端を発し1930年前後に起こった世界恐慌、そして貨幣価値を金で裏付けていた金本位制の崩壊は、各国が資源の奪い合う世界大戦を招く、大きな原因となりました。

第二次世界大戦後の1944年、戦前の世界経済崩壊を反省するため、米国ニュー・ハンプシャー州に連合国44ヶ国の通貨担当者が集まり、開かれたのが「ブレトン・ウッズ会議(連合国通貨金融会議)」です。

この会議で締結された協定に基づき、翌45年に戦後の復興を目的に資金供与を行う「IBRD(国際復興開発銀行=通称:世界銀行)」、そして貨幣の安定に必要な資金を融資する国際的な専門機関、IMF(国際通貨基金)の2つの組織が設立されました。
日本は1952年に53番目の加盟国としてIMFに参画し、理事国に名を連ねています。

国際的な経済の安定を目的として設立された、IMFの果たす役割の中でもとくに重要視されている項目が、財政危機や通貨危機、国際収支危機など、国家に対する信用リスク(ソブリンリスク)が高まる国に対する緊急支援です。

1970年代に起こったオイルショックによって、多くの石油輸入国は債務危機を引き起こしました。1980年代、その債務危機を解消する中心的な働きをしたのがIMFです。
1994年のメキシコ通貨危機では、資本収支危機に直面したメキシコに対してIMFは約180億ドルの支援を行っています。また、1997年にタイで起こった金融危機に端を発するアジア通貨危機では、タイ・インドネシア・韓国に対して合計360億ドルの支援を行い、経済を安定させる役割を果たしました。

支援金の財源は、加盟各国からの出資金で賄われており、支援を受けた国は危機を脱出したら借入額の返済だけではなく、金利や手数料などの支払い義務が生じます。

そのためIMFは単に資金を融資するだけでなく、歳出削減、増税や規制緩和など、財政健全化に向けた助言や、財政再建を目指す政策の立案も手助けすることで、信用リスクの高まった各国の経済状況を早期に立て直すことも、重要な役割として担っているのです。

IMFが年4回公表する「世界経済見通し(WEO)」は要注意!
IMFは、世界経済の安定のため、各国の経済状況を常に把握し、分析・調査を行った「世界経済見通し」を年に4回(1月・4月・7月・10月)公表しています。
http://www.imf.org/ja/publications/weo
2017年の7月に公表された最新の世界経済見通しでは、2017年の世界成長率見通しを3.5%、翌2018年は3.6%と予測し、4月時点の予想を維持しました。

この世界経済見通しは、世界全体の成長率だけではなく、米国、ユーロ圏、日本など先進国や、中国、インド、ブラジルなど新興国の経済成長を細かく分析して公表しています。
今後どの地域や国の成長が見込まれているかを確認することは、これからの魅力的な投資対象を選ぶ上でも大きなヒントとなり得るでしょう。

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