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スチュワードシップコードでインデックスファンドの信託報酬が上がる?

2017/06/06

投資先企業の成長と最終受益者(投資家)の利益を守ることを目的とした規定であるスチュワードシップコードが、2017年3月に改定されました。対話を強化することで安定性と利益の向上が期待される一方で、パッシブファンドの信託報酬が上がる可能性も考えられます。

今回は、投資家が安心して投資信託をおこなうためのガイドライン「スチュワードシップコード」の概要と、今回の日本版改定で抑えておくべきポイントについて解説します。

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受託者責任を果たすための行動規範「スチュワードシップコード」とは?

あなたが購入した投資信託の受託者(信託銀行)が、投資先企業のことをよく知らなかったとしたら不安に感じるのではないでしょうか?また、しっかりとした方針を提示してくれない受託者には、投資信託を任せることはできないでしょう。

このように、投資信託の受託者には果たすべき責任があります。これらを定めた規定が、スチュワードシップコードです。直訳すれば「管理者の心がけ」を意味する言葉で、投資先企業の企業価値を向上させるとともに、最終受益者である個人投資家の利益を最大化することを目的としています。

2010年にイギリスで規定された後、2014年に日本でも制定されました。

日本版スチュワードシップコードの7原則

日本版スチュワードシップコードは、機関投資家(受託者)に向けた7つの原則によって構成されています。

  1. スチュワードシップ責任を果たすために明確な方針を提示すること。
  2. 管理するべき利益相反について明確な方針を提示すること。
  3. 投資先企業の情報をきちんと把握しておくこと。
  4. 投資先企業と目的を持った対話をして、認識共有と問題解決に努めること。
  5. 議決権の行使とその結果の公表について明確な方針を提示すること。また、議決権の行使に関しては投資先企業が成長を持続できるような方針になるように工夫すること。
  6. 顧客や受益者に対して、スチュワードシップ責任をどのように果たしているのかを定期的に報告すること。
  7. 投資先企業の成長を促すためのスチュワードシップ活動を適切におこなうための実力を備えること。

スチュワードシップコードには法的な拘束力はありませんが、遵守しない場合は、その理由を説明することが求められています。そのおかげもあってか、規定されてすぐに、ほとんどの機関投資家はスチュワードシップコードを受け入れています。

また、スチュワードシップコードは3年を目安に改定していくこと定められており、規定された2014年から3年経った2017年3月に、改定案が発表されています。

改定をするにあたり、スチュワードシップコードに関する有識者検討会で

    • ガバナンス体制を整備すべき
    • 集団エンゲージメントの有益性を言及
    • パッシブファンドの対応を強化すべき

などの意見が集まり、規定として加えられています。機関投資家は、これまで以上に企業や最終受益者と対話をしていく姿勢が求められていることがわかります。

スチュワードシップコード改定案で対応強化を求められているパッシブファンド

投資信託には、パッシブファンドとアクティブファンドの2種類があります。

【パッシブファンドとは】
パッシブ運用とは、特定の指数(インデックス)に連動する投資成果を目指す運用手法です。特定の指数を「ベンチマーク」という運用の目標にして、ベンチマークが上がれば同じだけ上昇し、下がれば同じだけ下落するように運用することを目的とします。

例えば日経平均株価という指数をベンチマークにするなら、日経平均株価が1%上がれば、自分の保有している商品も1%上がる、というように市場と同じように動くことを目指すのです。そのことにより、市場全体の平均的な収益を上げることが出来ます。

この方法のメリットは、コストが安い点が挙げられます。なぜなら、パッシブファンドは、最初にある程度、金融商品の組み合わせを決めてしまえば、あとはあまり手間がかかりません。そのため、信託報酬(管理手数料)を安く設定できるのです。

【アクティブファンドとは】
それに対してアクティブ運用とは市場平均(ベンチマーク)以上の運用成績を収めることを目指した運用方法です。

アクティブ運用にはファンドマネージャーが存在し、今後上昇しそうな銘柄を選択して投資をします。また、ファンドマネージャーはこれから相場が下落すると考えるならば損失の可能性を最小限にとどめるためにポートフォリオの調整を行うこともあります。

パッシブファンドとアクティブファンド、どちらのほうが優れているかは一概には言えません。

信託報酬は投資信託を保有している間はずっと払い続けることになります。市場と同じレベルの利益を目的としているパッシブファンドの場合、信託報酬などのコストが低いものを選択するのが良いでしょう。

パッシブファンドの対応強化で信託報酬が高くなる?

アクティブファンドと比べると手間がかからないことから、信託報酬が低いというメリットがあるパッシブファンド。しかし、スチュワードシップコードの改定によって対応が強化されたら、信託報酬は上がってしまうのでしょうか?

パッシブファンドは基本的に、長期的な運用スタイルとなります。そのため、一時的ではなく、本当の意味で企業の成長を促す対話や議決権行使をおこなうことが重要です。また、改定案では、複数の機関投資家が共同して対話をすることの有効性も挙げています。

スチュワードシップコードを遵守するためには、今までよりも活動コストがかかります。議決権行使を行うための調査・判断などを行う必要があるからです。パッシブファンドの投資先は市場全体に及ぶため投資先の銘柄数は非常に多くなります。その一つ一つについて企業調査・判断をしなくてはならないとなるとコストがかかります。そのため、報酬水準の低いパッシブファンドでは信託報酬が上がる可能性が考えられます。

一方で、スチュワードシップコードは企業の成長と最終受益者の利益を守ることが目的とされています。有識者会議においても、利益のないコスト増加は避けたいという発言があります。(投資先を全て調査するためにコストが上がるというならそれは投資家の利益にならない面もある、という判断でしょう)。

また、今まで曖昧にされていた部分が見直されることによって、メリットが大きくなることも考えられます。このように、もし信託報酬が高くなったとしても、最終受益者である投資家にとって必ずしも不利益になるわけではないようです。

パッシブファンドは、あまり手間がかからないことから信託報酬が低く設定されているという点が大きな魅力でした。2017年のスチュワードシップコード改定で、機関投資家のパッシブファンド対応強化が求められました。

そのため、スチュワードシップ活動にかかる費用が増えて信託報酬が高くなる可能性があります。この規定の目的は最終受益者の利益を守ることでもあるため、遵守することで、長期的に見ればメリットが増えることも考えられます。

今後の機関投資家のスチュワードシップコードに対する取り組み姿勢には引き続き注目が集まりそうです。

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