上場株式は、預金など他の資産に比べて価格変動のリスクが大きいものです。実際に東日本大震災で原発事故が起こったあと、電力株が大暴落しました。現行の制度では、東京電力の株式を保有している投資家が震災前に死亡した場合、その後株価が暴落しても株式の相続税の評価額は死亡時の株価で評価されます。

2016年税制大綱で株式が相続に有利になる?
不動産を相続する場合には、一般的には市場の評価価格(売却価格)より80%以下で評価されることが多く、相続対策として用いられています。それに対して預金や株式は時価評価のままのため不動産と比較して相続時には不利な条件でした。

しかし、2016年の12月に発表される税制大綱で、株式の相続評価額が下がる可能性が出てきました。そうなると、株を買っておいた方が相続に有利になる可能性があります。まだ改正要望の段階なので、年末に発表されるまではっきりとは分かりませんが、今年の税制大綱の注目点になりそうです。

2015年の税制大綱は新しい動きが多かった
税制改正大綱(税制大綱)とは、与党や国が翌年度からの税制をどのように改正するか話し合った結果をまとめるものです。例年12月半ばごろに発表されますが、翌年にどのように税制が変わるのか、毎年世間の注目を集めています。

去年の税制大綱では、空き家の譲渡所得税の特別控除や法人税の引き下げなどが新設され、注目されました。株式の相続評価額は現時点でまだ変わっていませんが、新しい動きがこれからも出てくることを考えると、来年度の税制改革で評価額が下がる可能性は十分にあります。

株を買っておくと相続税を軽減できる可能性がある
相続税の対象となる財産の範囲
相続税は、財産(プラスの財産からマイナスの財産を引いた額)から基礎控除を引いた金額がプラスであれば発生します。基礎控除は3000万円+(600万円×相続人の数)で固定されているので、プラスの財産の金額が多ければ多いほど相続税が増えるということになります。

ここで言う財産とは、預貯金だけでなく、宝石や不動産など金銭として評価できるもの全てのことです。これには当然株も含まれているので、株式の相続評価額が引き下げられることになれば財産の総額が減り、相続税が少なくなります。

現行の制度では、株式は相続時点の時価で評価されるという決まりですが、今出されている要望が実現すれば、時価の70パーセントまで評価額が下がることになる可能性があります。そうなれば、財産を株式に変えた方が、現金として残すよりも相続人の負担を減らせる可能性が高くなります。

相続対策としての株の選び方
財産の額や相続人の数によっては、現金を株に変えておけば相続税が発生しなくなるというケースも出てきます。ただ、もともとの財産が多額の場合は当然相続税が発生しますので、相続対策に株を買うなら業績が安定している会社の株を選ぶのが無難でしょう。

相続人の負担を減らすためには、生前から準備をしておく必要があります。今までは「株を持ったまま死亡する」ことはデメリットと思われてきましたが、今後の税制改革で株の評価額が下がれば、逆に株を買っておいた方が有利になるかもしれません。

来年度以降、株式の評価額がどう変わるのか。相続対策を考えている人にとって、今年の税制大綱は興味深いものになりそうです。もし実現するのであればアベノミクスにおける株価対策としては非常にポジティブなインパクトを与えることになると思われます。


積立NISAの設立も
金融庁は2017年度税制改正要望で、毎月少額ずつ投資する積立NISAの創設を求めました。非課税期間を20年に延長(投資上限額は現行の半分の60万円)して、長期の積み立て・分散投資のメリットが得られるようにしたい意向です。投資の成果に大きな影響を与える証券税制の変更から目を離せません。



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