「銀行が破綻しそうになったので公的資金が注入されることなった」というニュースに覚えがある方も多いのではないでしょうか。これは一般的な企業ではありえない事です。公的資金とは、国民が納めている税金の事。経営に失敗した銀行をなぜ税金で助けるの?と疑問や怒りを覚える方もいるでしょう。公的資金の注入は、なぜ銀行には必要なのでしょうか?

銀行に公的資金が注入される理由
銀行だけに公的資金が注入されるのには、その特殊性に理由があります。銀行の何が特殊かというと、お金を貸してくれるところだからです。一般の企業は銀行からお金を借りて経営を行っています。とても単純に言うと、銀行が破綻してしまうとお金を貸してくれるところがなくなって銀行以外の企業も多くのダメージを受けてしまい、経済にとんでもなく大きな悪影響を与える事になるのです。

銀行が経済的にダメージを受けるのは、企業に貸していたお金が回収できなくなった場合です。つまり銀行はお金を損してしまうわけです。このような場合、一般の企業ならまずは自分の会社の現金化できる資産は売ってしまって何とかやり繰りをしようとしますが、銀行では公的資金が注入されるのです。銀行だって売れるものは全部売ればいいのに、と思いますよね?自助努力もしないで税金を使うなんてとんでもない!と言いたくなります。

BIS規制による自己資本比率の問題
ここで考えなくてはならないのが、銀行には自己資本比率について一定の基準があるという事です。BIS規制と言って、国際取引を行う銀行は自己資本比率8%以上と定められており、国内取引のみの銀行に対しても金融庁が自己資本比率4%以上を求めているという背景があります。この「比率」は総資産に対する自己資本の割合ですが、銀行の総資産というのは非常に大まかに言うと銀行が貸し出している貸付金の額の事です。

銀行が貸し出しているお金が回収出来ずいわゆる不良債権となった場合、銀行が自己資本比率を保つ方法は一つには総資産を少なくすること。総資産=貸付金ですから、この方法は「貸し渋り」や「貸しはがし」に直結します。これでは経済は安定せず、銀行全体がこのような事をしていると日本の不景気がどんどん悪化してしまう事になります。公的資金注入は、こんな事態を避けるために行われているのです。

銀行の安全性を高め、経済を安定させる目的で導入したBIS規制が原因で銀行の「貸し渋り」「貸しはがし」が横行したら経済基盤が揺らいでしまいます。

ですから難しい選択ではありますが、国の経済の安定のために銀行には公的資金が投入されるのですね。