四年に一度行われるものといえば何を思い出しますか?

おそらくほとんどの方がオリンピックを連想するかと思います。
今年も四年に一度のスポーツの祭典であるオリンピックがブラジルのリオデジャネイロで開催されます。
2020年には東京での開催が決まっており、早くも経済情勢や関連銘柄について注目が集まっています。

しかしながら、「四年に一度」開催されるものはオリンピックの他にもあります。
それはアメリカ合衆国の次期リーダーを決める大統領選挙です。アメリカ大統領選挙も四年に一度、オリンピックが開催される年に実施されるビッグイベントなのです。投資家の皆さんはオリンピックよりもこちらのイベントに関心を寄せている方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は過去の大統領選挙を振返りながら、選挙前後の米国株式の値動き、および日経平均株価への影響を考察していきたいと思います。
※)大統領選挙は四年に一度実施されているが、1992年以降は大統領の任期満了である2期(8年)を歴任している状況が続いている(クリントン大統領、ブッシュ大統領、オバマ大統領)

米国大統領選挙の流れ
まずは流れを確認したいと思います。後述しますが、途中経過が株価に影響を及ぼすこともあるからです。
アメリカの大統領選挙は国民が「大統領選挙人」を選び、その人達が大統領を選出するという間接選挙の形で行われますが、その流れは少し複雑です。
大統領選挙に関するニュースで「予備選挙」や「党員大会」などの言葉をよく耳にすると思いますが、日本の選挙では採用されていない方式であり、詳しくは分からないという方も少なくはないでしょう。
アメリカは世界的に発言力の強い国と言えます。その国のリーダーを選出する訳ですから、約1年の歳月を掛けて、様々なハードルを乗り越えた人のみが大統領になれるという仕組みが採用されているのです。

大まかな流れとしては、年明けから全米各州で①予備選挙もしくは党員大会が行われ、7〜8月で②全国党大会、その後11月の③一般投票を経て、晴れて大統領が決定します。

①予備選挙もしくは党員大会
予備選挙もしくは党員大会とは7月~8月の全国党大会で投票権を持つ代議員を各州から選出する選挙の事です。
投票形式の予備選挙または地域の党員合議制の党員大会のいずれを選択するかは各州の党委員会に委ねられています。
1月のアイオワ州を皮切りに全米で6月まで行われます。この予備選挙と党員大会が集中する3月上旬で各党の最終的な候補者が概ね決定してしまうので、「スーパーチューズデー(米国では慣習で火曜日が投票日とされている)」として注目され、大統領選挙前半のヤマ場となります。

②全国党大会
予備選挙や党員大会で選出された代議員により、各党1名のみ「統一指名候補」が決定されます。※各党、過半数以上の投票を獲得することが必要。
その後は指名候補者がテレビでの討論会や全国での演説に注力していきます。

③一般投票
先述の通り、大統領選挙は間接選挙で、この一般投票で12月に各党の統一指名候補に直接投票できる「大統領選挙人」が選出されます。投票権を有しているのは一般有権者(国民)です。
一般有権者は、大統領選挙人がどの統一指名候補に投票するかを明言している上で行われるので、この結果によって次期大統領が決定すると言って良いでしょう。

ここまではアメリカ大統領選挙の流れをご説明してきました。ではこのビッグイベントは経済や株価相場にどのような影響を与えるのでしょう。
次項で順を追って考察を進めていきたいと思います。

二大政党/民主党と共和党
アメリカの二大政党である民主党と共和党はそれぞれ特徴があります。
民主党は社会福祉を重視する政策を取っておりリベラルな立場の政党です。
分配重視、労働者に配慮する政党と言ったところでしょう。
一方、共和党は『小さな政府』を唱え、過度な課税を抑えながら、より能力主義的な社会を目指しています。成長戦略や投資家・資本家を優遇する政策に重きをおいています。

党代表を獲得するまでの過程で、候補者が政策論戦を繰り返します。候補者が絞り込まれてくる段階では思惑を先取りする動きも見られます。
例えば、2016年3月現在では共和党はトランプ氏、民主党はクリントン氏が有力候補となっていますが、二人とも日本の金融政策は円安誘導だと、否定的な見解をしているようです。そうすると、どちらが大統領になっても円安は加速しづらいのではないか、と考えて動く投資家が増えているようです。
実際シカゴIMM通貨先物ポジション(毎週金曜日公表)では、特に注目されるNon-Commercial(投機筋)の円のポジションが今年になってから、差引で円買いになっています。アベノミクス開始以来ずっとヘッジファンドやCTAなどの投機筋のポジションは円売りドル買いが多かったのですが、3年ぶりに逆転した状態になっています。
(一般的に、投機筋の買い越し・売り越しの枚数が最も注目されます。ただし、大口のヘッジファンドなどは手口が公開されることを避けるため、このような通貨先物は利用しないとも言われており、必ずしも正確に投機筋の動向が反映されているとは限らないと言われています)
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では、それぞれの政党が政権を勝ち取った場合、株価にはどのような影響があるでしょうか?

仮に民主党が今回の大統領選挙に勝利した場合、消費材やクリーンエネルギー関連銘柄が有望と言われています。
民主党は環境に配慮する政策を主張する政治家が多い政党です。クリーンエネルギー産業が優遇を受ける可能性が高いと囁かれています。
また経済格差の是正にも注力している政党であり、低所得者層の賃金底上げを推進していく政策を取る可能性が高いと思われます。その際には生活必需品に加えて、ちょっとした嗜好品を作るメーカーにも注目が集まるかもしれません。
民主党の指名候補を独走するヒラリー・クリントン氏が大統領になればアメリカ史上初の女性大統領です。『女性』をテーマにした銘柄が物色される可能性もあるでしょう。

共和党が政権を奪取した場合はどうでしょうか?
指名獲得最有力候補のドナルド・トランプ氏が実際に大統領に選出された場合、これまでの共和党の主張・政策と大きく異なる点も多いので未知数ではありますが、国防関連の銘柄が注目されるかもしれません。
共和党は従来、国防に多額の費用を費やす傾向にあります。
逆に金融関係の銘柄には逆風でしょう。トランプ氏は「ウォール街をぶっ潰す」と過激な発言で高収益を上げる金融機関を牽制しているからです。

このように二大政党のいずれが政権を取るかによって、株価に影響を及ぼす可能性が高いのがアメリカ大統領選挙です。個人・プロ問わず投資家や産業界は大統領選挙の途中経過を大きな関心事と捉えているのです。


大統領選挙とNYダウのアノマリー
次に過去の大統領選挙と米国株の代表的な指数であるNYダウと相関関係を見てみましょう。
以下のグラフは大統領就任4年目までのNYダウと日経平均株価の動きを政党別に示したものです。大統領選挙就任後にはあるアノマリーが存在するように見受けられます。
民主党・共和党政権いずれの場合も、大統領就任から3年目が最も株高であるというアノマリーであることが分かります。
3年目に最も株高になるのは、2期目の選挙を意識した景気対策が期待されることで、この傾向が強く表れるのかもしれません。
しかしオバマ大統領の2期3年目である2015年は中国の景気減速懸念や原油安などの大きな波乱に見舞われ上昇とはならなかったので、あくまで一定のアノマリーにとどまるとは思いますが、今後の戦略上、参考になるデータの一つかもしれません。

大統領選挙と日経平均
大統領選挙とNYダウにはある法則性があると判断して良いでしょう。
では、日本株の代表的指数とされる日経平均株価についてはどうでしょうか?
日経平均株価については、2015年はNYダウ同様、世界経済の先行懸念による大きな波乱を受け下落しました。
再度グラフをご覧いただき、日経平均の騰落率を見ていきましょう
就任1年目は計測した選挙回数全15回のうち、上昇は民主党4回・共和党5回、下落は民主党2回・共和党4回と特に法則性はないと思われます。
民主党・共和党に関わらず、大統領の就任2年目には上昇する傾向にありますが、日経平均株価と大統領選挙についてはあまり相関関係がないように見て取れます。
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以上のように、過去の大統領選挙と株価を振返ると、大統領就任3年こそは株高になりやすいという傾向はあるようですが、あまり明確な相関関係は無さそうです。
ただ、2000年以降はマーケットのグローバル化に伴い、NYダウと日経平均は同じような動きをする年が増えているようです。

マーケットは中国の景気減速懸念や原油価格を巡って混乱状況が続いています。加えて中東のテロ問題や欧州の移民問題、英国のEU離脱懸念など様々な問題が次から次へと出てきているのが現状です。
また選挙戦においてもトランプ氏の過激な発言などこれまでとは少し違う戦いとなっている感じがあります。

大統領就任3年目は是非、株高を期待したいものですが、このような先行が不透明な相場であるからこそ短期的ではなく中長期でトレンドを見極めることが重要な気がします。




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